5日午後、福岡市内のホテルで九州各県の知事、福岡・北九州市長、経済団体代表者などを集めて国土交通省が取りまとめ策定する「九州圏広域地方計画」についての意見交換会が行われたその席上行われた発言を連載する。
経済界を代表して九州経済連合会会長・鎌田迪貞氏と九州商工会議所連合会会長・河部浩幸氏の出席があったが、本日は阿部氏の発言要旨を紹介する。
九州商工会議所連合会 会長・河部浩幸 氏
河部会長は意見を述べるに先立って、
商工会議所は地域に密着した経済団体として、地域経済の振興、発展のために活動している。九州商工会議所連合会は九州・沖縄79の商工会議所で構成し、中小零細企業合わせて約14万社の会員がある。
それら、地域経済を支えるの中小企業の声を政策に反映させるということが会議所の大きな使命でもあり、本日は会員である14万社を代表して意見を述べさせてもらう。
と断った上で、次のように述べた。
── 九州は他の地域に比べて、経済状況が良いと言われることがあるが
最低賃金については、全国平均中ワースト10の中に7県が入っている。
平均所得についても、ワースト10の中に5県が入っている。
これらの数値が示すように、九州をブロック別に見た場合、最低の経済指標となる。
有効求人倍率、完全失業率の数値も芳しくなく、全ての県で転入を転出が上回るなどの実体があり、九州全体の景況は決して良いとは言えない。
北部九州では自動車産業をはじめ、製造業が牽引し改善傾向も見られるが公共事業への依存度が高い南九州では厳しい状況だ。また東九州方面は交通インフラの整備が大幅に遅れている。
このように九州は産業・雇用・年収などあらゆる面で北部と南部の間に格差がある。
九州全体の浮上をということになれば、北部、南部間の格差の是正が不可欠だ。
何より最低限の交通インフラの整備が必要だ。そこで循環型高速交通ネットワークの整備をお願いしたい。
次に中心市街地の活性化についてだ。少子高齢化にともなう人口減少からくる経済・社会活力の喪失は中山間地域や離島に限らず、都市部の中心市街地でも顕著だ。
郊外に大型店が出店した一部都市における中心市街地の空洞化は著しい。
この弊害を取り除くために都市機能が集約されたコンパクトシティー構想の推進が必要と「九州圏広域地方計画」の準備レポートにはあるが、各地の商工会議所も自治体と協同でコンパクトシティー構想研究に取り組んでいる所であり、その意見を取り上げるべきだ。
人材の育成についてだが、企業の現場で活躍できる人材の育成、地域経済を下支えする中小企業やベンチャー企業の起業家、また農林漁業の担い手など広範な人材育成に対応する施策が必要だ。
これら諸懸案を解決するためには国から地方への思い切った権限と財源の委譲が必要であり、そこの所をよく理解し上で「九州圏広域地方計画」の策定をお願いしたい。
(つづく)
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