屋上緑化は、省エネやヒートアイランド対策などの環境面はもとより、癒しや医療福祉の面から屋上を使った新しいビジネス開拓まで、さまざまな角度から脚光を浴びている。政府は都市緑地法制定などによる屋上緑化の拡大を図り、各自治体では条例の制定や補助金整備などによる緑化の拡充が進められている。
JR九州グループの1社であるジェイアール九州コンサルタンツは、2004年3月に緑化事業部を設置し、屋上緑化土壌『ルーフソイル』の開発・製造販売を行なうマサキ・エンヴェックと屋上緑化事業共同企業体を設立。同年7月の鹿児島ターミナルビルにおける施行を皮切りに、企業、マンション、学校、病院および老人福祉施設など広い施設で導入されている。
ルーフソイル工法は、石油化学製品の使用を極力抑えた、環境にやさしい工法である。対象建物は新築・既築を問わず、ビルやマンション、病院・福祉施設、学校はもとより工場・倉庫などのあらゆる建物での導入が可能だそうだ。
また、福岡市中央区大名のビル屋上に、誰でも自由に見学できる、「見て触って考える」本格的な屋上緑化展示場『スカイステーション』を開設するなど、さまざまな建物における各種相談やプラン作り、施工・メンテナンスまで、一元的な事業の拡大を進めている。
スカイステーションは、既存の建物オーナーをはじめ、建築設計事務所や各種デベロッパー、ゼネコンが注目しており、近隣の人々の癒しとくつろぎの空間としても利用されているようだ。
同社は「近年、環境問題がテレビ、新聞、映画などで取りあげられ、環境保全への社会的関心の高まりや屋上緑化導入に対する補助制度の拡充などから、屋上緑化に対する期待は大きく、ルーフソイル工法の高い技術をもとに屋上緑化事業の拡大と確立に努めていく」としている。
なお、屋上緑化の取り組みとして、ほかに小倉ターミナルビルの小倉駅ビルの屋上緑化がある。03年4月に、小倉駅ビル開業5周年記念事業の1つとして、JR九州、小倉ターミナルビル、三軌建設の3社による共同事業が行なわれた。小倉駅ビル屋上のビアテラスに隣接した場所に、芝生を中心として周囲に北九州市の花であるツツジなどの低木を配した憩いの広場を整備している。
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