福北連携で共存共栄を目指す
福北連携で都市機能強化
── 昨年の8月に吉田福岡市長と会談を行ないましたが、今後の福岡市との連携をどのように考えていますか。
北橋 福岡市と北九州市は、同じ政令指定都市として、それぞれ異なる歴史・文化があり、都市としての強みも持っています。また、距離的にも近い両市が、様々な施策を推進する過程で、ライバルとして競い合う場面もあります。
しかし、大局的に見ると、巨大化するアジア市場のなかで、国内外の都市間競争を生き残るためには、両市がスクラムを組み、共存共栄が可能な戦略を考える必要があると思います。
吉田市長とは、昨年8月の会談において、これまで取り組んできた連携(福北連携)をさらに強化していくことを確認したところです。
具体的には、「福北連携による対アジア戦略」や「分権型社会に関する共同研究」、「新しい“福北連携の理念”を策定する」ことなどを合意したところです。
今後とも、福岡市とは適宜、意見交換の場を持つなど、連携を密にしながら、共に栄える関係を作っていきたいと考えています。
── 自動車産業を中心とした北部九州地域の生産能力の強化についてどのようにお考えですか。
北橋 現在、北部九州には、トヨタ、日産、ダイハツの3メーカーが工場を置き、各社とも生産能力を増強しています。近い将来、年産150万台は確実と考えられています。
北九州市にも、トヨタ自動車九州のハイブリッド部品工場の建設のほか、部品メーカーの進出が相次ぐなど大きなビジネスチャンスが訪れています。
このような動きに、地場企業がしっかり対応できるかが大きな課題です。そこで、本市では技術力向上や人材育成を支援する仕組みをいち早く整えました。
また今後は、組立機能に加え、「自動車生産の頭脳」というべき設計開発部門の集積にも期待しています。昨年、トヨタ自動車九州とダイハツ九州が開発機能を持つ構想を発表したことを大変歓迎しているところです。
本市は、「九州における自動車関連産業集積No.1都市」を目指しています。関連企業の誘致、地場企業の参入支援に加え、昨年7月に北九州学術研究都市に設置したカー・エレクトロニクスセンターを中心に、技術者育成や研究開発に着手しました。
これからも自動車産業を一つの大きな柱として、地域産業の振興に取り組んでまいります。
── 空港や港の整備が進み、物流基盤が整ってきた北九州市において、今後の物流拠点都市としての方向性についてお聞かせください。
北橋 好調な自動車関連産業の立地や市内製造業の増産が進んでいますが、東アジアを見据えた地の利、国内外との物流ネットワークなど、本市の持つ強みが評価された結果と受け止めています。企業の競争力強化に「物流」は重要な要素であり、本市の陸・海・空の物流基盤の充実、活用に積極的に取り組みます。
北九州港は、コンテナや在来貨物などあらゆる貨物に対応できる総合港湾としての強みを生かしながら、航路網や後背地の物流機能の充実を図ります。
24時間運用の北九州空港は現在、深夜貨物専用便が運航中ですが、さらなる航空貨物拠点化に向け、国際貨物路線の就航に必要な荷捌き施設の拡充などに取り組みます。
さらに、東九州自動車道や国道3号黒崎バイパスの整備促進とともに、国道211号などの幹線道路の整備を推進し、空港や港をつなぐ広域的な道路ネットワークの拡充にも力をいれてまいります。
北橋 健治(きたはし・けんじ) 氏
1953年生まれ。86年に北九州市から衆議院議院に初当選を果たし、6期務める。07年2月、北九州市長に就任。
市政においては、「ハートフル北九州マニフェスト」をもとに、子育て・教育・福祉などの分野で大幅な拡充を図るとともに、整備された都市基盤を活用し、さらなる経済振興を目指して、市民の目線に立った「人にやさしく元気なまちづくり」を進めている。
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