社内の「和」が接客にぬくもりを造る
九州新幹線博多駅乗り入れと都市圏
アットホームなフロントはアットホームな社内から
福岡市内の相次ぐホテルの開業について話を向けると 「周辺のホテルの開業が相次いでいますが、特段気にはなりませんし、福岡全体のホテル客室数がまだまだ不足ぎみである事を考えれば歓迎したいくらいです。」と社長の尾形氏は余裕で応える。
2006年に博多駅交通センター横に503室のビジネスホテルが開業。本年、2007年に入り博多駅周辺に3件、中央区渡辺通りに1件合わせて600を超える客室数が新たに稼働を初めた。
「新規開業のホテルは何れも100を超える客室を持つが、同ホテルは89室。
スタッフの目がお客さま一人一人に行き届くこの客室数で細かな心配りを提供します。
他のホテルに泊まられても何れは当ホテルに戻って来られると云う自信があります」
と言う尾形氏は何よりも社内の人間関係構築に心を砕いていると云う。社員間に本物の信頼関係が生まれ社内に和やかさが醸成されればフロントに余裕を持ってたてる。
接客マニュアルによる普段の訓練も当然必要だが、その余裕が同ホテルが提供するアットホームな心からのお客さまへのサービスを支えていると云う自信が尾形社長を中心に社内に漲っている。
今後の福岡のホテル業界は
「海外からの観光客誘致の可能性。込めばすぐに市内の客室は足りなくなる現状などを考えるとまだまだ福岡都市圏の客室数は足りません」と福岡のホテル業界全体の状況を心配して尾形社長は指摘する。自ら営業に出向く台湾からの観光客などはショッピングでも単価が高く観光地にとっては良質の顧客といえるが福岡の魅力を今以上に売り込み、一層の呼び込みを計る戦略を立てる事が必要とも訴える。
「彩り豊かな九州各地の観光地を線で結ぶ観光拠点でもあり入り口でもある福岡の魅力を海外へ発信する事は緒に着いたばかりです。この可能性豊かな市場を開拓するために福岡の業界全体を上てまだまだ努力が必要です」と提言する。
また2011年九州新幹線の博多乗り入れと、それに伴う新博多駅ビルに出現する巨大ショッピングモールは福岡都心部の人の流れを大きく変えると尾形社長は言う。
阪急百貨店と東急ハンズをキーテナントとするこのショッピング街の売り場面積はキャナルシティー博多のビジネス棟を除いた面積に匹敵し、博多駅を通過点として中洲・川端、天神地区へと流れていたショッピング客の足を止めるのに十分な魅力を持つものとなる。
博多駅は福岡都市圏への陸路による入り口と云う従来の機能が九州新幹線の乗り入れで一層強化されると同時に、巨大ショッピング街の出現で天神、キャナルシティー・川端地区に並ぶ第3の観光・ショッピング拠点都心としての機能も合わせ持つ事になる。
九州新幹線乗り入れを契機に大きく変貌する博多駅地区の流れに自社ホテルも迅速に対応し一層の発展を計るが同時に業界全体、地域全体で博多駅地区の変貌を支え、都市圏全域の魅力を更に高める方向で今後も貢献する事も大切と尾方社長は福岡への提言を語った。
[プロフィール]
尾形 光男(おがた みつお)
昭和18年4月19日生まれ。
昭和40年日本国有鉄道入社。平成4年九州旅客鉄道(株)流通事業本部流通事業課長。
平成6年九州旅客鉄道(株)佐世保駅駅長
平成8年九州旅客鉄道(株)門司車掌区長
平成11年ジェーアール都市開発(株)代表役取締役社長就任
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