これまで、JR九州グループの環境への取り組みについて見てきた。はじめに述べたように、02年度策定の目標値は、1990年度を基準に2010年度までに(1)在来線の省エネ型車両の導入割合60%、(2)エネルギー消費原単位6%削減だった。それに対し、06年度実績は(1)61.7%導入、(2)9%削減で、10年度を待たずして達成されている。
まとめとして、環境負荷の総括について見てみよう。JR九州では環境負荷量を示すために、資源投入量(エネルギーや水などの資源の消費量)に対するCO2排出量を算出している。
まず、エネルギーでは電力を598,021千kWh(うち列車運行に伴う電力531,011千kWh)、都市ガスを940千m3、その他の燃料を25千kl(原油換算、うち列車運行に伴う燃料22千kl)を投入し、水は1,168千m3、OA用紙は225t(A4換算で54,844千枚)を投入した。
これらを事業に投入した結果、CO2排出量は397千t-CO2で、うち列車運行に伴う排出量353千t-CO2と、1990年度比で5.5%の削減に成功している。同グループは「チーム・マイナス6%」に参画しており、あと0.5%削減することが当面の目標である。
しかし、こうした取り組みは持続してこそ意味がある。九州新幹線開通や博多駅前開発にわく同グループだが、こうした環境への取り組みにも今後注目していく必要があるだろう。
おわり
JR九州グループの環境への取り組み一覧 |
1991年度 |
3月 |
大村線電化完成(早岐~ハウステンボス) |
1995年度 |
4月 |
きっぷのリサイクル開始 |
1997年度 |
3月 |
小倉工場で使用した水の再利用及び小倉駅ビルに送水して中水として再利用 |
1998年度 |
3月 |
エコロジー委員会設置 |
1999年度 |
7月 |
環境の基本理念・基本方針制定 |
10月 |
豊本線電化開業(熊本~肥後大津間) |
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12月 |
地球温防止福岡市民大会への参加開始 |
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2000年度 |
4月 |
小倉工場、㈱ケイ・エス・ケイ小倉事業所がIS014001認証取得 |
12月 |
エコロジーシンボルマークの制定 |
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2001年度 |
4月 |
スーパー銭湯「極楽湯」の排水を処理し、車両洗浄用水として再利用 |
4月 |
物品ネット購入システムで、再生材料を使用した「エコ商品」の取り扱い開始 |
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10月 |
篠栗線・筑豊本線(福北ゆたか線)電化開業 |
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10月 |
ペットボトル再生制服の導入 |
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2002年度 |
5月 |
JR九州ボランタリープランの設定 |
3月 |
ジェイアール九州メンテナンス㈱南福岡事業所がIS014001認証取得 |
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2003年度 |
4月 |
小倉駅ビルを屋上緑化 |
4月 |
ジェイアール九州メンテナンス㈱小倉工場事業所がIS014001認証取得 |
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5月 |
レンタルサイクル「楽チャリ」の開始 |
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9月 |
環境への取り組みをまとめた「エコロジーアクションプラン」の作成 |
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3月 |
九鉄工業㈱がIS014001認証取得 |
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3月 |
ジェイアール九州コンサルタンツ㈱が屋上緑化事業を開始 |
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2004年度 |
9月 |
鹿児島ターミナルビル㈱が生ごみ減量化開始 |
2005年度 |
5月 |
PCB廃棄物処理開始 |
2月 |
社員研修センターの空調設備を省エネ化 |
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3月 |
ジェイアール九州コンサルタンツ㈱がIS014001認証を取得 |
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2006年度 |
3月 |
特急列車の禁煙化(一部特急列車を除く) |
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