NPOの立ち上げへ
2005年に化粧品会社を契約満了に伴い退社した高木氏は、NPO法人の立ち上げを始める。テーマ、活動内容は「教育」である。
高木氏にとっては当然の成り行きの選択でもあった。というのも、事業経営時代からはもとより前述の会社で教育・研修に携わる中で人材の確保だけではなく、人材教育の重要性を嫌というほど痛感したからである。若い人と触れ合う中で、地場中小にはなかなか目が向かず、会社の名前だけにこだわって就職先を決めてしまう学生が多い、ということだった。また地場にもいい技術を持った素晴らしい会社があるにもかかわらず、会社みずからのアピール力が弱く人材が集まらないという弱点があることも感じていた。
こうした中で、自分の経験を伝え、若い人たちが活力を持って働いていける場を作っていくのが自分のこれからの仕事である、という確信を深め、NPOを立ち上げることにした。立ち上げに際しては、キューサイの長谷川氏らの尽力を得ることができ、06年7月、「特定非営利活動法人キャリア教育サポート」に認証を受けた。キューサイの長谷川氏が理事長に就任し、高木氏は専務理事となる。
この法人のミッション(目標)は「会員相互の協力により、キャリア教育に関する広範な知識、技術を提供し青少年に対して、次世代を担う人材として育成を行うこと、ならびに、広く不特定多数の市民、企業の団体に対して、キャリア教育に関する提言や啓発活動を行ない、社会教育、青少年の健全育成等の公益の増進に寄与すること」としている。
この活動で高木氏が特に重視するのは、人材の教育を、狭い意味での「社員」になるための研修としてではなく、人間力の育成に置いていることであろう。そのために企業、学校、学生を三位一体として捉えて事業を行っている。また、専門学校・大学などの教育機関と企業、学生との連携をコーディネートしながら、とくに地場中小での人材確保。養成に力を注いでもいる。
[プロフィール]
高木 教光 (タカキ キョウコウ)
NPO法人 キャリア教育サポート 専務理事
九州産業大学 非常勤講師
1951年 福岡市博多区生まれ
1972年 九州産業大学 産業経営学部 卒業
NPO法人キャリア教育サポートを設立 地場企業の経営者と教育界の方々との連携を行い、青少年の健全育成と地場企業への就職支援事業、教育事業やイベントを開催 福岡地区の大学生の自立と 起業支援事業を行う。
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