また、国内の廃木材等から製造される木質チップを燃料とするバイオマス発電については、地域によっては需給が逼迫し、マテリアルリサイクル原料との競合が起きるといった例が見られる。
リサイクル原料としての木質チップについては、国土交通省の将来予測によれば、全国的には建設廃棄物排出量の増大が見込まれるものの、今後、短期間でバイオマス発電の普及が急激に拡大することによって、一時的又は地域的に、マテリアルリサイクル原料との競合を引き起こすおそれがある。
また、RPS法の国会審議において、廃棄物発電に関しては、「廃棄物等の発生抑制、再使用、再生利用の推進を阻害することのないよう」努めるべきことが附帯決議されており、上記のような懸念に対しては、何らかの対応策を着実に講じていくことが求められているといえる。
こうしたことを踏まえ、平成19年度(2007年度)以降、RPS法第9条に基づく新エネルギー等発電設備の認定において、マテリアルリサイクルを過度に阻害することなく、木質チップ原料の調達が可能な旨確認できることを、認定の基準の一つとして定めている。
さらに、木質バイオマス燃料の供給拡大を図り、木質バイオマス発電の円滑な普及を促進するため、森林整備の際に発生し、未利用となっている間伐材等の林地残材を発電用燃料として活用するため、上流(収集・運搬)から下流(転換エネルギー利用)までを通したトータルシステムの確立が求められる。
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