共育のNPO
現在、就職戦線においては大手の人材派遣会社などが大仕掛けの催しを開き、会社説明会を行なっているが、地場企業では参加できないところも多い。また参加した企業でも人事担当者が説明の窓口だけにとどまっており、必ずしも社長・トップの意志、情熱が求職者に伝わらないこともままあるということを聞く。
地場にも素晴らしい会社があるにもかかわらず、求職者にそれが伝わらないために他の有名企業に目が奪われてしまう。福岡は学生数も多いし、結果として人材の草刈場になってしまい人材輩出県になっている現状がある。こうしたなかにコーディネーターとしてのNPO法人キャリア教育サポートの役割がある。
教育機関の就職担当者は学生に対して求人票を掲示して学生の相談に乗っているが、その担当者に対してNPOがサポートしていく。現在の就職をめぐる状況やどういう人材を企業が求めているのか、またどういう教育の質が求められるのかを提言していく。一方、企業に対しては、企業のトップ自らが自分の会社アピールし優秀な人材を掘り起こし、確保していくための行動を提言する。また学生に対しても、学生のネットワークづくりと連携し、幅広い目で職業観、仕事観を養っていく活動を行っている。
高木氏になぜNPO法人なのか尋ねたことがある。その時氏は、会社経営とNPOは共通する点が多いし、会社経営で培ったニーズの把握やマーケティング調査、販売促進など生かしていくことができる、と言っていた。確かにそうであるようだ。そしてまたNPOとして運営していくことで、NPOがもつ「公益のために役立つ組織」として価値を高めて事業目的を達成していくという、時代の流れを掴んだものであると言える。
95年の阪神淡路大地震での市民ボランティアの活躍。こうした市民意識をひとつの時代の流れとして読んだ氏の判断力によるものだということができる。
[プロフィール]
高木 教光 (タカキ キョウコウ)
NPO法人 キャリア教育サポート 専務理事
九州産業大学 非常勤講師
1951年 福岡市博多区生まれ
1972年 九州産業大学 産業経営学部 卒業
NPO法人キャリア教育サポートを設立 地場企業の経営者と教育界の方々との連携を行い、青少年の健全育成と地場企業への就職支援事業、教育事業やイベントを開催 福岡地区の大学生の自立と 起業支援事業を行う。
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