気候変動枠組み条約締結国会議が昨年12月、インドネシアのバリ島で開かれ、地球温暖化対策をめぐるポスト京都の枠組みの交渉を開始することが合意された。また、1月に開催されたダボス会議で福田首相は、今年7月の洞爺湖サミットに向けて、包括的な温暖化「クールアース推進構想」を提唱した。これからの企業はこの時代状況に対応した活動が不可欠であるし、逆に企業にとっては、地球環境保全を価値にした新しいビジネスチャンスも生まれてきているとも言える。環境問題との「付き合い方」が企業の生命線になりつつある。
地球環境問題はもはや他人事ではない
「沈みゆく国―ツバル」というテレビ番組が放映され、多くの人々の目が釘づけにされた。この国は、南太平洋のサンゴ礁に囲まれた小島である。地球温暖化による海面上昇で、世界で最初に沈む国であると言われている。さらに、北極海の海氷表面が急速に減少し、永久凍土の融解も進んでいる。また、気候は急速に変動し、熱波の増加や集中豪雨が発生、熱帯や亜熱帯では干ばつ地域の拡大で被害が激化してきていると伝えられている。沖縄のサンゴの白化や死滅など生態系の異変も確認されている。
日本に住む私たちには関係ないよ、と言う人たちも居るだろう。しかし、このまま事態が進行すれば、私たちも同様の被害に襲われることになるであろう。このことは、以下の報告書でも明らかにされている。「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、07年2月の第4次評価報告書で、現在の温暖化や気候変動は、人間活動による大気中の温室効果ガス濃度の増加が主因であると発表した。しかも、その確率は90%以上であると断言した。
さらに、第3作業部会は、「気温上昇を影響の少ない2℃程度に食い止めるためには、遅くとも2020年までに世界の温室効果ガスの排出量を減少に転じさせ、2050年には2000年より半減させる必要がある」との報告をとりまとめている。今、世界は、地球温暖化を中心とする地球環境破壊との関係を抜きに、企業活動や人間活動は考えられない状況にある。
温室効果ガス排出量削減 日本は達成が困難
1972年6月、スウェーデンで開催された国連人間環境会議で、「人間環境宣言」「世界環境行動計画」が採択された。環境問題が、地域問題から地球規模の問題へ展開していくターニングポイントと言われている。92年にはブラジルで、国連環境会議が開かれた。会議には、世界180カ国の代表や国際機関、NGOなど2万人以上が参加し、「地球サミット」と呼ばれる大規模なものになった。
97年、地球温暖化防止京都会議において、先進国が地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減目標を設定した京都議定書が議決された。その内容は、90年を基準にして、08年から12年までの5年間で5%削減するというもので、日本には6%が課せられた。07年のG8では、「50年までに温室効果ガス排出量を半減させることを真剣に検討する」ことが合意された。
すでにEU諸国は、温室効果ガスの大幅削減のための中長期目標を示し、「排出権」の売買を含め進展中である。一方、日本は企業任せで、国としての目標を示しておらず、国際的な批判も起きている。日本は削減どころか、05年度で7・8%の増加になっており、京都議定書の約束を守ることが困難になっている。
つづく
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