今年に入り、ようやく議論が進展の気配を見せている福岡市営地下鉄七隈線の延伸問題。利用客が目標の半分程度に低迷している大きな要因として、天神南駅止まりとなっていることが挙げられる。
先月、市は、JR博多駅方面に向かう博多駅ルートと博多ふ頭方面に向かうウォーターフロントルートを、事業費1,600億円で延伸する計画を出した。
ある地下開発関係者は次のように語る。
「地下鉄はとにかく中洲川端駅まで伸ばして、すぐに乗り換えができるように結節させることが急務だ。ウォーターフロントラインは、年間利用者見込みがせいぜい70万人程度。大した数ではないから、こちらは次の次の次くらいに考えれば良い。地下鉄は1kmあたり250億円程度だから、中洲なら500億円程度で造れるだろう。まずはこちらを造り、余裕があれば博多駅に伸ばす方が良い。地下鉄は公共工事とは言え、実際はビジネスだ。必要性と採算性を見極める必要があるし、造った後の方が大事だ。」
そもそも2つのルート計画は、1991年度段階のもの。17年経った今の状況に、この計画そのものが見合っているのか。また博多駅ルートは、西鉄がJRに客を取られてバスのドル箱路線を失うため、強行に反対したから止まっているという消極的な理由がある。
「必要性と採算性」を見極めるビジネス感覚、そして特定の企業に偏らないバランス感覚が、市には求められている。
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