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「戦い」を支えたのは一級建築士としての誇り(5) 行政そして建設業界の構造的問題 | 建設業界への提言
特別取材
2008年2月 5日 10:23

 先日、弊社のもとに、仲盛氏から1通のファックスが届いた。それにはこう記されていた。「『構造設計者:協同組合建築構造調査機構 仲盛昭二』が構造設計を行なった物件が、福岡市に建築確認を申請されました。この物件が、平成19年12月14日に福岡市より建築確認を頂きました」。

 全国的に建築確認件数が減っているなか、しかも行政と戦い続けている氏にとって、このたった一件の確認申請はどれだけ重いものだっただろうか。

 氏は、「国交省のやり方は、物件を無作為に抽出し、たまたま書類上ミスがあった物件を取り上げて、構造上問題がありとしてしまうものだ。早くすべてを終わらせて、住民の方々に安心してもらい、自分もゆっくりしたい」と、住民第一であるという想いを語る。

 しかし、「福岡県や市が国交省の言いなりになってしまっており、なかなか決着がつかない。もはや個人的バッシングに近いものがある。これは人権問題と言っても、過言ではない。12月14日の建築確認の件にしても、県から市に『確認を下ろすな』という要請があったようだ。しかし市は、『法的に問題がない』という理由で、ようやく確認を下ろしたようだ」と、行政の構造的問題に対して怒りをあらわにしていた。

 仲盛氏は、07年6月20日に施行された改正建築基準法についても言及した。「法の内容で変更があったのは、たった2点のみ。そのほかは何も変わっていない。指定確認検査機関と適判のダブルチェックになったが、ことごとく確認が下りないという事態が起こっている」と言う事だ。

 しかもこれは、「適判の主観によって決まるというから驚きだ。事前審査は何のためにあるのか。日本ERIの関係者も、適判を訴えてほしいと言っているぐらいだ。しかし、彼らは立場上、表立ってそのようなことは言えない」と、検査機関内部にも問題が内包されていると指摘した。

 さらに、「業者が役所に直接文句を言うと、銀行融資が止まってしまう恐れがあるため、なかなかそういう声が上がらない。現場では、水面下で生々しい対応が繰り広げられている」と、建設業界の構造的問題についても言及した。

 
[プロフィール]
仲盛 昭二 (なかもり しょうじ)                    
協同組合 建築構造調査機構 一級建築士事務所
参事(技術担当)
1951年2月8日、福岡市博多区生まれ。
九州産業大学卒業後、日本建設(株)に入社。
1978年、独立し、昭和設計事務所を創業。
1980年2月、設計工房サムシング(株)を設立し、同社代表取締役に就任。
2002年9月、サムシング廃業。
その後の現在に至るまでの詳細は、本文にて紹介。

▼共同組合 建築構造調査機構
http://www.asio.jp/

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