志は止まらず
自立した地方、独立した日本を求めて
問題意識の原点は「東ティモール」にあり
2007年4月に執行された福岡市議会議員選挙において、博多区から立候補し、4060票を獲得しながら落選した日下部晃志氏。元々は自衛官だったという氏は、なぜ政治を目指したのか。
「私は、元自衛官でしたが、転身のきっかけになったのは、東ティモールという国の独立の瞬間を目の当たりにしたことです。東ティモールは小さく、貧しい国でした。
経済的な繁栄のみを考えるのであれば、インドネシアの一部であり続けた方が妥当なのですが、なぜか多くの犠牲を払いながら、そして幾多の困難が待ち受けることがわかっていながら、独立を求めたのです。私の問題意識はここにあります。わが国は『自分たちの生き方は、自分たちで決める』ことができているかどうか。いや、そもそも『自分たちの生き方は、自分たちで決める』ことの価値を考えることすら止めてしまっているのではないか。そんな思いが、私を松下政経塾へと突き動かしたわけです」とその動機を語る。
さらに、「日本に『自主独立』の気風をもう一度呼び覚ましたいと思っています。私は、そのチャンスを地方政治に求めました。これからは『地方分権』の時代と言われています。これまでは『三割自治』と言われておりましたが、いよいよそれでは行き詰まってきた。地方の財政はパンク寸前です。北海道の夕張市がいい例ですが、福岡市も例外ではありません。最後は国が何とかしてくれると思って、借金経営をやってきたのですが、山ほど借金をこさえた挙げ句、三位一体の改革によって、税源移譲です。結局、『自分たちのことは自分たちでやってください』と突き放されたわけです」と指摘する。
福岡から「自主独立の気風」を
善戦したものの、今回は当選に手が届かなかった日下部氏。地方議員を目指しながら、「独立」という価値を模索する氏の姿勢は、容易に理解されまいが、終始一貫している。
「まさに地方は『自分たちの生き方は、自分たちで決め』ざるを得ない状況です。したがって、選挙では政策をどうこうというより、徹底的に『当事者意識』を喚起すべく、訴えました。これまで、役所に背負わせてきた『公共性』を、私たちも積極的に背負っていきましょう、それが結果として、行政コストを下げ、次の世代の生活を楽にします、是非一緒になって考えて下さい、と一貫して訴えました。
落選はしましたが、たとえ何といわれようとも、福岡という地から『自主独立の気風』を創っていくことは諦めません。今こそ、その場しのぎの政治ではなく、長期的展望に立った街づくりと正しい経営感覚に基づいた都市経営が必要です。道路や公園を整備するなど、目先のことも必要かもしれませんが、100年後のことも見通せばこそ、『自主独立』の価値と『当事者意識』を訴え、喚起して続けていくのが、私の使命だと信じています」。
戦後の日本ではあまり顧みられてこなかった「独立」の価値。不器用そうだが、その価値を愚直に訴え続ける若者の「志」が、市民に届くことを念じて止まない。
[ プロフィール ]
日下部 晃志(くさかべ こうじ)
昭和51年 福岡市生まれ
平成7年 福大大濠高校卒
平成11年 防衛大学校国際関係学科卒、以後、5年間陸上自衛隊に奉職
平成16年 (財)松下政経塾入塾
平成19年 福岡市議選挙に出馬、4.060票獲得するも惜敗
事務所住所:福岡市博多区東光寺町1-15-9
TEL:092-431-6907
URL: http://www.yarukusa-kokorozashi.com/
※記事へのご意見はこちら