池浦市長のコメントの後半には、次のように記されている。
「なお、職員も一連の報道を知り自主的に返還を申し出ていただき、返納の手続きを完了したところであります」
これまで報じてきたように、福津市職員は「居酒屋」の飲み代が税金から支出されていることを、知らされていなかったとされている。
報道がなされて驚いたのは、市長と語る会「居酒屋編」に参加した当の職員たちだったことだろう。
市長が自腹で差額を支払ってくれているとばかり思っていたら、公金で処理されていたのである。
まともな神経の役人なら(これは、まずい)と思うはずだ。返納は当然だろう。
しかし、こうした事態を引き起こしたのは池浦市長自身ではないか?
問われるべきは、なぜ市職員に市長交際費による補助金支給の事実を告げていなかったか、ということである。
酔いも醒めて、何を食べたかも忘れたころになって、(飲み代に、税金使っていたから金を返せ)という状態に追い込まれた市職員には、気の毒と言うしかない。
市職員の「本音」を聞くために「税金」を使うことが「施策のひとつとして捉え」るという市トップの姿勢を、市民はどう見るだろうか。
そして、職員を税金で接待することが、「施策」と呼べるのだろうか?
市長の本音が最後の一行に集約されている。
「市民の、皆さまがたには、大変ご心配をおかけしましたことを、おことわり申し上げます」
市民にかけたのは、心配ではなく「迷惑」であろう。区長の観光旅行も、職員への居酒屋接待も、税金によるご機嫌取り、不適切極まりない支出である。
つまり、市民の税金を、本来の趣旨から逸脱し、市長決済で使いまわしただけの事なのである。
市民にとっては、貴重な税金を無駄にされたのだから、迷惑を通り越して「被害」と表現しても良かろう。
事の本質を十分理解した上での、まず心からのお詫びこそ求められていたはずだ。
池浦市長のコメントは、残念で片付けられるほど小さなことではない。
本社に寄せられる市民の声は、「まだ隠されたことがあるはず」「徹底的に膿を出すべき」といったものも含まれている。
そうした福津市民の怒りの声に応えるべく、取材は、現在も続いている。
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