福岡市魚市場の解体工事で、アスベスト許可業者ではない下請会社にアスベスト除去工事をさせ処分された、防水工事業者の雄(株)ムトウがあるが、その後、福岡市から発注されるアスベスト工事は書類提出の山だとアスベスト工事会社は嘆いている。福岡市も問題の再発を防ぐため、工事仕様にかかわる細かな報告を書類提出させており、トレーサビリティについても万全の措置を取っている。
弊社が当魚市場問題で、市が現地確認の上、試算したアスベスト量(入札用件事項)に対して、実際アスベスト処分業者に持ち込まれた量に大きな乖離があった問題。その後改善され、アスベスト量は入札条件から外し、処分場に実際持ち込まれた量に対して支払うという、事後(実際量)払いとなったという。このことは、人体に甚大な問題を引き起こすアスベストを不法投棄するという問題を防御する有効な手段であろう。
しかし、工事に関わる提出資料の多さにいずれの業者も閉口しているのが実情である。問題を事前に防ぐという福岡市の姿勢は理解できるが、運用後に改善するところは改善する必要があり、最低必要な書類に簡素化すべきである。アスベスト業者は官庁のように事務作業で飯を食っているところはない。
その他
1.アスベスト防護服
アスベスト工事に伴う防護服は、アスベストと一緒に処分場に持ち込まれているが、その量がすごい。現場でアスベストを除去工事する人は1日に何枚も着替えるからであるが、昼の食事、トイレ、休憩などで密閉した工事現場を離れるたびに服を着替え、冬場で最低3枚、夏場では5枚位使用するとのことである。当然ミクロン単位のアスベスト防護服であり、それなりに高い。そこまでして、アスベストは除去されているのである。福岡市に対する見積もりには、アスベスト防護服代を入れている。
2.民間解体現場は大丈夫かアスベスト!
民間建物でアスベスト工事業者が入るケースは、超大手の工場などの建物解体工事以外は無いそうである。現実は、古いビルの自走式立駐や店舗の屋内駐車場、一般の施設建物やビルなど老朽化した建物には殆ど使用されているとされる。その解体では、解体前にアスベスト業者がアスベストを除去する必要があるが、業者が入るケースは稀となっている。
何故アスベスト業者が入らないのかの理由は簡単である。
(1)罰金や公表、指名停止等の罰則規定が無い事に尽きる。
(2)建物解体にしても、安価な価格で施主やゼネコンは解体業者に発注しており、アスベストの有無の調査(お金がかかる)すら行なわない。
(3)解体業者に意識がない。意識があっても、アスベスト除去費用を解体費用に入れて見積もり提出したら、まず仕事が取れないのが現実。タレ込みも今後の受注を考えたらできない。タレ込みがあっても罰則規定がないから、官庁も強制的には動けず、および腰になっているのが実情。
しかし、解体現場で働く(社長はまず現場に入らない)人の健康問題はなおざりにされたままである。これは、罰則規定のない法を施行した国の責任である。10年、20年後、こうした問題が発生したら、解体業者に殆ど支払能力はなく、またあってもせず、国が税金を使い補償することになる。と言うより、しなければならない。
3.柳川市の所有物件にピアス化粧品を製造する工場のアスベスト
当工場は柳川市(旧大和町)が、ピアス化粧品から購入して、ピアス化粧品の子会社に賃貸している工場である。柳川市は購入するに当たって、当工場にはアスベストが工場内に吹き付けられていることが判明。ピアス側は、吹き付けられたアスベストの上に塗装を吹き付け、アスベストを覆っている状態で売却している。
当工場には沢山の人が現在働いている。もし地震が来て塗装面に亀裂でも入ったら、アスベストが飛散することになり、従業員の健康問題となる。
アスベストによる健康被害で多くの死者が確認され、法施行までされているにもかかわらず、アスベストを除去もせず、柳川市が当工場を賃貸したままにすることは許されない(その前に何故購入したのかという問題がある・・・)。
福岡県沖地震はまったく予期せぬ地震であった。有明海周辺で大きな地震が来ないという保証はない。
※記事へのご意見はこちら