1975年から始まったポルポト派政権とベトナムとの対立、そしてその後の内戦によって、クメールルージュ(ポルポト派)、ベトナム軍、そしてカンボジア政府軍が互いに無数の地雷を埋め、多数の不発弾を生み出した。
現在の残存数は400万~600万個と言われており、撤去費用は1個当たり100~1,000ドルと言われている。こうしたなか、MAG(Mine Advisory Group、イギリス・マンチェスターに本部を置くNGO)やCMAC(Cambodian Mine Action Centre、政府系地雷撤去団体)といった組織が日夜、地雷撤去に励んでいる。
【1-a)地雷撤去の状況について(MAGカンボジア本部・バッタンバンオフィス)】
平和な世界をつくるという使命を持ち、地雷・不発弾の撤去・処理を主な仕事としているMAGカンボジア本部(所在地:プノンペン)。過去15年間で35カ国の戦後(まれに戦時中の)処理を行なったそうだ。
スタッフは500人体制で99%がカンボジア人、そのうち38%が女性、8%が地雷被害者である。仕事先が少ないカンボジア人にとって、危険を伴うこの仕事は「生きていくための仕事」という意味合いがあるらしい。
地雷および不発弾は、人々の生活を阻害する。最大の問題は、子供の生活圏の近くに地雷が潜み、何も知らない子供が地雷原に入ることで幼き被害者が発生することである。また、カンボジアの85%が農民と言われており、農地での被害も後を絶たない。
また、地雷撤去に時間がかかりインフラ整備や農地開発の遅れにもつながっている。内戦が終わった後も地雷は残存し、今では51%まで減少したものの2007年には約400名の被害者がでている。
地雷被害者が最も多い地域はバッタンバン州。ここにはMAGスタッフのうち約80%、389名が配置されている。そのうち男性255名、女性134名。地雷被害者が39名、うち1名が女性である。
この、カンボジアにおける唯一の女性被害者のディマイナー(地雷撤去者)は、25歳・シングルマザーのKheun Sokhonさん。地元のパイリン地区のアウ・カークラム(Au Chhurkram)村で地雷撤去活動をし、その収入が彼女の生活を支えているそうだ。
つづく
【大根田康介】
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