原油価格の高騰は、アメリカやアラブの投機資金によるもの。投機筋に多大な損害を与えたサブプライムローン問題はまだまだ底が見えないため、投機資金が株式などの債券市場から原油や穀物市場に移転、高騰の原因をつくっている。原油の国際価格高騰は世界経済を悪化させる恐れがあるものの、各国の思惑から市場価格を協調して抑えることもせず、投機筋の心積もりだけで高騰しているのが実情である。
原油では最大の輸出国であるロシアやアラブ各国は、高騰によりボロ儲けしており、穀物ではアメリカ・オーストラリア・アルゼンチンなど穀物輸出国がボロ儲けしている。日本はいずれも輸入国であり、景気が良くなるわけがない。米ドルに対して10%円高に振れたところで、原油や穀物相場がその何倍にも高騰しており、まったく輸入の恩恵(円高で輸入品は安く入る)を受けられない状況が続く。おまけに鉄や銅などの資源も高騰しており、原価高に拍車をかけている。輸出企業にとって円高は、最大の輸出相手国のアメリカの価格競争力を減少させる。販売価格をいじると売上高に影響し、据え置くと利益が減じることになる。
円高は、昨年夏場からサブプライムローン問題により株式市場に影響が出始め、昨年7月の1ドル123円前後から、直近では103円に突入している。16%の円高になっており、123円換算で計画を立てていた会社は、輸出すれば赤字となり(営業利益率が16%もある会社はほとんどなかろう)、輸出しなければ販売先を失うことになる。それに加え、原材料高により国内景気も、輸出による景気回復の牽引も不調で、景気の悪循環に苛まれることになる。
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