財政難の市町村が追い討ち
当然(財)日本容器包装リサイクル協会(以下、包リ協)管轄の市町村から落札した業者は、ペットボトルの回収から出荷までのトレーサビリティー(履歴管理)に基づき、厳密な証拠書類が求められ、中国へ販売することなどできない。
こうした包リ協の管理体制は、一見すばらしく見えるが、地方の財政は苦しく中国へ販売する市町村が後を絶たないのである。当初より包リ協を無視した市町村も数多くあり、熊本県にように中国へ輸出している市町村の数が、国内でリサイクルする市町村を上まわる県もある。
一向に減らない国会議員数、公務員数、赤字を垂れ流しにできる中央政府とは異なり、市町村は財政難の上、ペットボトルのリサイクル処理費用を当初支払う立場にあった。「金がないのに奇麗事は言えない。」と、中国へ販売していたのが実情である。
包リ協の務めは、法律の執行人として啓蒙・啓発の情宣活動が大きなウェイトを占めるが、そうした市町村に対してなんら行動も起こしていない。市町村からお金の問題を言われたら言葉に詰まって退散しているのであろう。しかし現実は、国内のリサイクル業者が市町村に支払う廃品ペットボトル販売価格は50円/㌔を超えている。中国へ販売しても60円前後であり、たいしてかわらない。包リ協が情宣活動をちゃんとやれば、国内リサイクルに販売する市町村が大幅に増加するはずである。
法律施行から時が経ち、何もしない包リ協、既にリサイクルするペットボトル不足で倒産しているペットボトルリサイクル専業者も現れている。
また国内のリサイクル企業は、処理能力に対して現行のリサイクル用のペットボトル量が少なく、高値落札で赤字経営が続いているのが実態である。そうしたことからも市町村による中国販売は禁止すべきではないだろうか。
市町村も、ゴミ収集の経費減らしに分別収集を市民に強要している、市民は集められたペットボトルが中国へ輸出されていることを知っているのであろうか。市民とのコンセンサスは取れているのであろうか。
いずれにしろ包リ協は、リサイクル業者には強いが、市町村にはすこぶる弱い存在のようである。
法律の改正時期かもしれない。
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