◆ウルトラC「修正案」提出はあるか?
無料化を掲げる市長案、対して有料化のままサービス拡充を柱とする自民・みらい福岡案。63議席の福岡市議会を真っ二つにしての議論は、24日の採決まで目が離せない状況である。
これまで報じてきたように、市長案に賛成する議員数は30が確定したものと見られる。
対して、自民・みらいの議席は26(川口議長を除く)。しかし、吉田市長の政治姿勢に反発を強めるふくおかネットワークの3人の議員が自民・みらい案に傾けば、流れは大きく変わってくる。
福政市民クラブの2議席の行方については詳述したが、現在唯一の無所属である高山市議はどう考えているのだろうか。
同市議は市が有料化へ踏み切る時からこれを支持、自身の市長選挙でも無料化ではなく、利用者の希望として最も多い施設整備などに重点を置いた訴えをおこなっていた。
市財政破綻に強い危機感を持ち、独自の財政再建策を提言するだけの実力派市議であり、信念を曲げないことにかけては定評があるだけに、すんなり無料化賛成ということにはならないと見られている。財政状況を考える時、利用者の多数意見でもない「ばら撒き施策」を許す高山市議ではない、とい
うことらしい。
しかし、自民・みらい案に賛成の意思表示もしていない。
自民・みらいの26議席に、ふくおかネットワークの3議席と、大森市議を加えて30議席。ここでやっと30対30である。高山市議がどちらの案を選択するかで勝負が決することになる。
高山市議の存在感を、まざまざと見せつける形にはなっている。
◆不可思議 「修正案」情報の裏は・・・
ここに来て、自民・みらい案可決の可能性が強まったと見ていたが、ある会派から修正案が提出されるとの情報が駆け巡っている。
「修正案」は、小学校3年生までを対象とする市長案を4年生まで引き上げ、無料化を図るというもの。時間的に、19日までが提出期限ということになろうが、この時期に来ての修正案提出にはどのような意味があるのだろうか。
ふくおかネットワーク対策とも考えられるが、対象学年の引き上げだけでネットワークと吉田市長の「溝」が埋まるのか、はなはだ疑問である。
もともと市長案の賛否を問うだけだった市議会で、今回のような「対案」が提出されることはなかったことである。
ただでさえ日程的に厳しいところへ「修正案」では、あらぬ憶測ばかり呼んでしまう。
修正案提出は、自民・みらい案つぶしの高等戦術にあると見る向きもある。
去就定かでない高山市議が採決に加わらなかった場合や、福政市民の藤本市議が市長案に賛成、高山市議が自民案に賛成となった場合、30対30か31対31となる可能性もあるのだが、そうなると自民党である川口議長の決断で勝負が決まる。
もちろん自民・みらい案が可決ということになるが、その前に、市長案に対する修正案が提出されれば、事態が流動化して、全ての案が流れることを狙っているというのである。
にわかには信じられない話だが、確信を持って話す関係者もいるのだ。
もちろん、噂されるように市執行部や市幹部OBの働きかけでこうした動きが出ているとしたら、吉田市政は、そこまで追い詰められたということかもしれない。
自民・みらい案が可決されれば、吉田市長は、公約である無料化を実現することは常識的にはできなくなる。
しかし、市長案、自民・みらい案、ともに成立しなければ、次の機会に「無料化」を再提案する道が残る。修正案にはそうした「裏」が隠されているというのだが、真意は定かではない。会派の面子の問題に過ぎないという話も聞こえてくる。
つまり、修正案を示すことで独自色を出しつつ、日ごろ対立する会派と組んで敗れた場合のダメージを回避する狙いもあるというのである。
ただ、逆に作用して自民・みらい案に有利に働く可能性も残る。そうなると、まさに「賭け」である。提出自体、流動的であるとされるが、動きがあることは事実なのだろう。
実際に修正案が提出されるかどうかは、19日までには明らかとなる。
もちろん、24日の採決まで目が離せないが、「修正案」提出の有無は、ひ
とつの転換点になるかもしれない。
修正案が出ても、自民・みらい案にふくおかネットワーク・高山市議・福政市民の大森市議が賛成すれば31議席で成立となることも忘れてはならない。
子どもや親たちを脇に置いて、ほとんど望まれていない「無料化」にこだわる市長と、会派の面子をかける議員諸氏。
忘れないでいただきたいのは、議案がお流れになれば、19時までの保育時間延長を望むお母さんたちは、また待ちぼうけをすることになるということだ。
採決を棄権するようなことだけは避けていただき、何らかの成案を得てもらいたい。
子ども病院の人工島移転のほうがよほど大きな問題だと思うが、市民はどのような思いで市議会を見ているのだろう・・・。
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