ドタバタ議会の責任は吉田市長にあり 市民にとって本当に必要な施策を!
留守家庭子ども会を巡る、市長案対自民・みらい案の戦いは益々熾烈なものとなってきた。本稿において、先日は市長案についての修正案提出の可能性を報じたが、ここに来て修正案提出を見送ったとの情報も流れている。また新たに別の会派から、自民・みらい案に対する修正案提出があるという。
独自色演出のための駆け引きも大変である。
事態の流動化を受けて、早々と市長案否決の方向性を打ち出す記事さえ出ているが、事はそう簡単には済みそうもない。
福岡市議会の定数は63議席、議長を除く採決では、残り62人の市議が無料化の是非を決断することになる、一部報道のように過半数は32である。今のところ、無料化の市長案に賛成と見られる会派の合計は、報じてきたように30にしかならない。
これでは確かに届かない。しかし、賛否について意思表示できるのは、あくまでも「出席議員」だけである。
採決を避け、議場を出る議員が1人でもいた場合、「出席議員の過半数」が32から31に減ることになる。
つまり、31の賛成さえ得れば可決の可能性が、両案にあるということである。もちろん、採決に加わらないという議員が増えればボーダーラインはさらに下がる。30で可決という場合も否定できない。繰り返すが32議席なければ何も決まらないというのは、議長を除く62名の議員全員が採決に参加した場合だけのことである。そうした意味で、一部報道は正確さを欠いているといえよう。
「修正案」は、どれも基になる案に対する一部修正である。先述した市長案への修正も、自民・みらい案への修正案も、対象年齢だけを変えるものに過ぎない。問われているのは無料か有料か、なのだ。「ばら撒き無料化」対「有料維持、サービス拡充」の戦いと言い換えても良い。
会派の面子も大事だろうが、本質を忘れて全てがお流れになるような愚は避けるべきである。
何より、保育時間延長を待ちわびるお母さん達のことを忘れてはならない。
そして、この混乱を招いた責任が、吉田宏市長にあることは言うまでもない。公約達成に固執する市長に振り回される市民は不幸である。これほど望まれもしない「ばら撒き施策」にこだわる市長がいただろうか。
吉田市長は山崎広太郎前市長のオリンピック誘致を手厳しく批判して市長になったが、これでは五十歩百歩だろう。
市民が本当に求める行政サービスは、他にたくさんある。18億の税金を使う留守家庭子ども会に、さらに2億円以上をつぎ込むことが、子育て世代全体の支援策になるはずがない。さらに、高齢者に対する目新しい施策は今日まで皆無である。
市政が目指すべきは、世代ごとにバランスの取れた施策の実現であり、市民全体の安心安全であろう。
留守家庭子ども会に始まり留守家庭子ども会で終わるが如き議会が、市民全体のためになるかというと答えは否である。
高いといわれる国民健康保険料の問題や、減少が懸念される産婦人科医や小児科医の問題、原油高や円高に苦しむ地場企業への対応・・・、数え上げればきりがない。
吉田市長が政治家として大所高所から考えて市政を変えようとするのなら、留守家庭子ども会の問題についてこだわる必要はなかったと考える。市民のニーズをしっかりと掴んだ上で、市民生活や将来の福岡市に直結する施策を提示し、論戦に持ち込むべきだった。それなら、公約を撤回しても批判は出なかったのではないだろうか。
今、市政にとって何が大切な問題か、それさえ分からぬ市長を選んだ市民にも責任がないとはいえないが・・・。
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