九州新幹線全線開通に向けたまち作りが進んでいる博多区ですが、商業区域としての性格が強まると、天神とのお客の取り合いになるのではないかという懸念も聞かれますが、まち作りの当事者としては、「天神との綱引き」を意識することはやはりありますか。
遠藤:
たしかに、現在、商業の集積が進んでいます。ホテルや宿泊施設、あるいは事業所、オフィスも増えています。定住人口は20万、昼間人口が30数万、そういう状況にさらに拍車がかかることが予想されます。
ただ、区役所としては、商業の問題よりも、昼間人口が増えることで起こる区民の日常生活における問題にどう対応するかのほうが重要です。放置自転車の問題、自動二輪、捨て看板、ホームレス等々いろいろとありますが、区役所の立場としては、都市的な発展の中で、区民の安全と快適な生活がど
う守られていくか、というのが一番の関心です。そういう点では、まちづくりの協議会に、関係校区の自治協議会長が入ってくれていることは非常に心強いですね。
天神との比較ということでいうと、天神と張り合うよりも、博多にあるもの、博多の強みを活かすような取り組みのほうがいいと思います。
一昨年から始めましたが、「博多情緒巡り」(※)が好評ですね。累計で2000人ほどがご参加いただいています。区役所から働きかけたものですが、以前には「博多部ランド協議会」さんたちが独自に取り組まれていたものを、できるだけ一緒にやっているということで。現場にも入っていただい
てます。
御供所あたりの聖福時や承寺など、歴史的な資産は大変素晴らしいですし、これを活かしていく取り組みが必要で、東京から最先端のものを取り入れつつも、博多の歴史がきちんと位置づけられていけば、面白い町になるだろうと思います。
編集・構成:日下部晃志
※博多情緒めぐり
博多部の昔ながらの建物が並ぶ素朴な町並み、あまり知られていない名所
旧跡、あっと驚く歴史の足跡などを町歩きしながら楽しむというイベント。
詳しくはhttp://www.hakata-meguri.jp/aki2007/index.phtml まで
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