博多区の課題として、避けては通れないのが、ホームレス対策だと思いますがいかがでしょう。
遠藤:
博多区には「保護3課」という部署があります。「保護3課」というのは博多区に限らず、全市的に住所不定者、ホームレス等の方々の窓口になっています。
平成16年のことですが、私が、保健福祉局の総務部長をしていたときに、庁内でホームレス対策検討会議が成立して、それまでは各局バラバラに対応していました。統一的にホームレス対策を講じよう、ということで、福祉的な観点から、高齢者、病気をもっている方、障害のある方、放置できない状態にある方については、福祉的な手をさしのべなければならないということで、一つは、西区に松濤園という福祉施設がありますが、その中にプレハブで住居を造って、3週間ほど受け入れて、その間に住居をさがして、住んでもらうようにしました。
二つめは、公園で生活している方に、結核の恐れがありましたので、保健所で集団検診を受けてもらう、必要な方には投薬をすること。
三つめは、公園への定住を認めているわけではないですが、万やむをえず、公園で生活している人たちに対しては、近隣の住民とトラブルを起こさないような指導をする。
この三本立ての施策で、松濤園経由、あるいは、病気で病院に運ばれたのを契機にして、アパートを借りてもらい自立した方など、約600人がホームレス生活から脱却しました。
施策を始めたときの市内のホームレスの人数は600~700人と見積もられていましたので、それに相当する人数は手を打ったといえるのですが、それでもなお、現在、市内のホームレスの人数はもっと増えています。福岡市に流入しているということもあるでしょうし、新たにホームレスになった、という方もいるでしょう。
これらの施策はまだ続けてはいますが、現場に来てみると、もう一歩進んだ施策が必要なのかな、と思いますね。
もう一歩進んだ施策といいますと。
非常に難しい問題ですが、松濤園のような一時的に収容する施設ではなくて、アパートを借り上げるとか、公的な自立支援施設のようなものも必要かもしれません。もちろん、地域住民の理解があるということが前提になりますが。
つづく
編集・構成:日下部晃志
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