国土交通省は、国をまたいで使用できるIC乗車券の実験都市に福岡市を選定。5月18日に導入が決定した西日本鉄道(株)の「nimoca(ニモカ)」のサービス網を活用する。福岡市以外にも、関西地区、広島県、ソウル、シンガポール、香港などで実験を行なうとしている。
アジアに流通しているICカードは、各々の国で規格が異なるため、各国の鉄道事業者らと国際協議会で話し合いを行ない、各国に対応するIC乗車券を今年4月から夏までに開発。その後、性能検証、各国での調整を経て、今年の秋に公開実験を行なう。09年度以降の実用化を目指している。
実用化すれば、アジアからの観光客の増加が予想される。ただ、国内事業者間での正式な相互利用が決定しないうちから、海外での相互利用へ向けて国が動くとは、少々、性急過ぎではなかろうか。コピー製品の問題が払拭しきれていないアジア圏で、現金とほぼ同等に扱われるIC乗車券を導入すれば、違法使用の可能性もある(システムさえ見破れば、現金よりも楽にコピーできよう)。実用化と平行して、万全なセキュリティシステムの構築も急いでいただきたい。
今春サービス開始とされていたニモカが、5月中旬まで導入を見送った背景には、こういったことがあったのかと勘ぐらざるを得ない…。
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