福岡市議会定例会は、25日に日程を終了する。報じてきたように、学童保育「留守家庭子ども会」も無料化の是非ばかりが注目された議会だった。
24日の採決で市長案か自民・みらい案かに決着がつく、もちろん両案ともに流れる可能性もある。ふくおかネットワークから自民・みらい案に対する修正案が提出されるが、これは基本的に自民・みらい案に賛成ということである。この時点で市長案が通る可能性は低いと言わざるを得ない。1ヶ月以上の市議会で、何か得るものがあったのだろうか?
学童保育の現場の声や、ニーズを掴み損ねた吉田市長の責任については先述した。
自身の公約にこだわり、他の大切な議論、例えば人工島の問題などから目をそらす結果を招来した罪は重い。もっとも、それを狙ってこんなドタバタ劇を演じたのなら、なおさらたちが悪いのだが・・・。
福岡市は財政難にあえいでいる。そんな中で、ばら撒き施策とそうでないものを、しっかりと見極めてもらわなければならない。
社会全体で支えるべき対象は、子育て世代全体である。役所の認定を受けた人たちだけで、いいはずはない。
「照一隅」という言葉がある。片隅を照らす、言い換えれば弱者にも光を当てるということであろうが、政治家や役所に最も求められるべき言葉であろう。
現在、福岡市には「認可外保育所」が152箇所もあるという。福岡市によれば、2300人以上の子ども達が、認可外保育所を利用しているとしている。
福岡市は認可保育園に対しては、実に手厚く遇してきた。しかし、認可外を利用する子ども達には不公平極まりない処遇が続いている。
東京をはじめ他都市では、認証園制度などを導入し、認可外の子供達にも税金による補助が行なわれている。
子育て支援と言うのなら、全ての子供達に等しく税金の恩恵が与えられるべきではないのだろうか。
認可外の施設が、認可園の不足部分を補完する存在として機能してきたことは、間違いのない事実である。
要望の少ない学童保育の無料化にこだわるくらいなら、認可外を利用している子供達や親たちに光を当てようという発想はないのだろうか。
吉田市長から認可外保育所についての考え方が発信されたことはなかったのではないだろうか。子育ての現場を知らないのであれば、これからでも勉強すべきであろう。
財界人と飲食する時間があるのなら、保育の現場に足を運べということだ。
同時に、市長に「照一隅」の言葉を贈らせて頂きたい。
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