今回の区長インタビューは、早良区の荒瀬泰子区長。早良区は北部地域、中部地域、南部地域で街の性格が違うという、福岡市内でも特徴ある区である。
北部地域は、いわゆる副都心で、地下鉄空港線沿線の商業・業務地区や中高層の住宅を中心とする地域。中部地域は、低層・中層の住宅地を中心とする地域。南部地域は、旧早良町を中心に、農業地域、森林地域を含んだ地域となっている。このような区の特徴を、荒瀬区長は
「まるで1つの市です」
と語る。
「北部、中部、南部で性格が違い、個別の対応が必要です。例えば、高齢者の政策一つをとっても、各地域に適した政策が必要です」
と荒瀬区長。早良区は、「要介護者認定率」が福岡市平均より高く、「一人で外出可能な健康で自立した人の割合」は低い。高齢者の健康づくりは、今後の早良区の課題であるとのことだった。
また、安全安心なまちづくりという面においても、各地域で個別な対策が必要だという。例えば、北部で発生する犯罪は「ひったくり」が非常に多く、住宅地域である中部では「空き巣」が多い。これに関しても、今後対策が必要だろう。
安全安心なまちづくりに関する話の中で、目を見張ったのが早良区の放置自転車についてであった。平成17年度の実績は、放置自転車は16.4%、18年度は9.8%、そして19年度2月末までの実績は、なんと5.9%である。確実に成果を挙げている。
荒瀬区長によれば、
「職員の取り組みがすごいのです。取締りと施策をしっかりと行なっていきます」
とのことだったが、この結果にはもう一つ、早良区の最大の特色とも言うべき要因がある。それは、「地域と一緒になって行なう行政」である。
上述した放置自転車に対する取り組みは、実は西南大学の学生と一緒に行なっている。行政だけではどうしても限界があることを、地域と共同で行なうことで、大きな成果を生む。また、それにより地域の住民にとってよりよりまちづくりへと繋がっていく。
放置自転車の他にも、ウォーキングマップや、観光ガイドブック作成など、早良区の魅力を伝える取り組みを、地域と一緒になって取り組んでいる。
その中でも「小田部校区こどもあんぜんあんしんマップ」には、緊急連絡先や子ども110番の家の他に、小学校・中学校通学路、そして見通しが悪く危ない交差点や交通量が多く注意が必要な道、出会い頭の事故が多い場所などが表示されており、まさに行政と地域が一緒になって行なうまちづくりの象徴とも言うべき印象を受ける。
つづく
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