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特別取材

福岡への提言(2)今あるものを新鮮にとらえて地域再生/森永卓郎
特別取材
2008年3月12日 13:16

話者紹介:

森永 卓郎(もりなが たくろう、1957年7月12日 - )は、日本の経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。元三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部長。専攻はマクロ経済、計量経済、労働経済、教育計画。社会民主主義者。東京都出身。オフィストゥーワン所属。父親は獨協大学外国語学部教授であった森永京一。


 2001年9月にスタートした豊後高田・昭和の町は、今では年間20万~30万人ほどをコンスタントに集客ができるまでになっています。10年ほど前、私が大分の地域開発の仕事をやっていたころは、豊後高田の駅前商店街はゴーストタウン化し、猫くらいしか街を歩いていませんでした。その後、豊後高田の商店街が主体となり商工会議所に掛け合って、町と県が3分の1ずつ改装費を出し合って昭和30年代の町並みを再現し始めました。もともと豊後高田は商店街が早いうちから没落していたため7割くらいの建物が昭和30年代以前のものでした。商店街の活性化を図る話し合いの場で昔話に花が咲き、立て直す金がないのであれば昔に戻したらいい、ということで「昭和の町」プロジェクトが誕生したのです。

 集客のための起爆剤としては、使い道がないまま農協が管理していた旧野村財閥の米倉庫を博物館にすることになりました。しかし、豊後高田には博物館に飾るものが何もなかったため、日本一と言われる福岡の駄菓子屋コレクターを説得し「駄菓子屋の夢博物館」の館長として、本人も一緒に移住させました。

 新聞各社は、街並みを見学に行くことが最大の集客要因だと解していましたが、私は昭和の街並みだけでなく商店街そのものに人が集っていると思います。というのも、あの商店街に暮らす人たちは「ここは商店街であり、観光地ではない」という考え方に誇りを持っていて、商店では決して観光地料金を取りません。そういうところが観光客に支持されているのです。近頃ではどんどん新しい店もできて若い人も確実に増えてます。ただ、大資本が土地を借りて湯布院のようなものを作り、表面的な観光地化を進めているのが少々気にかかります。

 私は出身が大分ということもあって大分県内の温泉はほとんど回っています。大分で一番好きな温泉は天ヶ瀬温泉です。もともと天ヶ瀬温泉は筑豊炭田などが栄えていた時の炭鉱労働者の週末の楽しみの温泉地だったのですが、現在はその時の蓄えを食いつぶしながら細々とやっているといった感じです。恐らく客室稼働率は3割に満たないのではないかと思います。だけど地域再生に対して腰が重いのは他ならぬ“大旦那”なのです。
 例えば天ヶ瀬の旅館を改装する場合には何百万かのお金が必要となります。だけど旅館にはお金がないので銀行から融資してもらわなければなりません。そんな時、“大旦那”は「馴染みの客相手で細々とやっていけてるのに銀行から借金して赤字になったら銀行から家屋敷全部を取られるんだぞ」とリスクを負いたがりません。

 街の活性化に最も効果的なことは若い世代への全権委譲だと思います。完全なシャッター通りから再生させた大阪・日本橋のオタロードや、大分・豊後高田の地域再生が成功した事例の共通点は、若い人たちが問題を意識して革新的に行動したという点ではないでしょうか。(つづく)


森永卓郎 HP
http://www.rivo.mediatti.net/~morinaga/takuro.html

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