◆子ども病院単独移転への布石 市長側近出世街道まっしぐら
福岡市の人事異動で、保健福祉局長に阿部亨総務企画局理事が就任する。
保健福祉局長といえば、かつて副市長の靏川氏が務めていたポストである。
それ以前には、総務企画局長就任前に実力者・木山光蔵氏が就いていたこともある。
このポストがいかに重要なものか、歴代の局長経験者とその時期の市政の動きを見れば、理解できる。
特に靏川氏が局長時代には、市民病院・子ども病院の統合移転と、移転先に人工島を充てる事を決めるという、重要な役回りを果たしていた。
靏川氏はその後、財政局長から副市長へと出世する。
保健福祉局長は難しいポストだけに、出世の通過点になった感がある。
さて、今回の異動で保健福祉局長に就任する阿部亨氏は、かつて山崎広太郎前市長と折り合いが悪く、冷戦が続いていたとの関係者の話も聞こえてくる。
現在は、吉田宏市長の覚えめでたく、実質的に市役所を動かす市長側近との指摘もあるが、子ども病院の人工島への単独移転という、くだらない「人殺し施策」実現のための布石とみられている。
医療関係者はもちろん、大多数の市民が反対すると予想される子ども病院の人工島への移転を実現させるため、最適任者は阿部氏しかいなかったということだろう。
身内の役人だけで行なった「人工島事業検証・検討」は、大胆な見直しを公約に掲げた吉田市長のアリバイ作りに過ぎなかった。結果は市長が先頭に立っての事業の強力な推進であり、子ども病院の単独移転などという市民無視・はじめに土地売却ありきの結論である。
検証・検討のチームリーダーは先述の靏川氏、実質的取り仕切りは阿部氏だったと言われる。
子ども病院の人工島移転には、市民の猛反発が予想される。難局を乗り切るためには、市長側近ナンバー1で「検証・検討」を引っ張った阿部氏を、所管局のトップに据えるしかなかったということだろう。
人工島事業に対する公約破棄、留守家庭子ども会の無料化失敗と、吉田市長の求心力は低下の一途。子ども病院の人工島単独移転をしくじれば、吉田市政はダッチロール状態となる。
暴力団関連企業から事務所を借りたことが明らかになった吉田市長だが、この人事が成功するかどうかは不透明である。
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