折口氏は国外から帝国を管理する腹積もりだが、それがうまくいくかどうかは予断を許さない。というのも、国税庁と東京地検が内々に捜査に動いているからだ。
狙われるのは、京都の人材派遣業者クリスタルの買収をめぐって不透明な金銭の流れが存在しているからである。グッドウィル・グループは、コリンシアン投資事業有限責任組合弐号に883億円を出資し(出資比率は約75%)、このコリンシアンがクリスタルのオーナー一族から91%の株式を買い取っている。ところがクリスタルのオーナー一族に渡ったカネは約500億円で、差額の383億円((1))の行方が分からない。
それだけではない。グッドウィル・グループのコリンシアンへの出資比率が約75%であることから分かるように、コリンシアンの背後には約25%の出資比率にあたる約310億円((2))を投じた謎の投資家グループが存在している。この75:25という出資比率に応じてコリンシアンが保有したクリスタル株が分配されたため、グッドウィル・グループが手に入れたクリスタル株式は67%に過ぎない。91%から67%を差し引いた24%のクリスタル株((3))が、謎の投資家グループに分配されたとみられる。
つまり上記の(1)、(2)、(3)の合計で約690億円と24%のクリスタル株の行方がよく分からないのだ。「どうも背後に暴力団関係者や格闘家集団がいるようです」と、大手買収ファンドの代理人を務める外資系証券会社の幹部は打ち明ける。消えたカネをめぐって国税と東京地検は大掛かりな脱税やマネーロンダリングを想像しているという。もし強制捜査が入って、折口氏の逮捕に至るようなことがあれば、そのとき帝国は一気に解体へと突き進むであろう。