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特別取材

丸紅保証書偽造事件(下)
特別取材
2008年4月 1日 09:43

裏上場したアスク社

 LTTは07年5月、アスク社を株式交換方式により9月1日付けで完全子会社化すると発表した。LTTの07年3月期の売上高12億6,700万円に対してアスク社の同期の売上高は50億9,300万円。「小が大を呑む」M&Aだ。その結果、LTTは08年3月期の連結売上高は対前期比4.3倍増の54億4,900万円の見通しになると公表した。

 アスク社は04年9月の設立。資本金は2億1,200万株。52.11%の株を保有するオーナー社長が斎藤栄功氏(46)。山一證券、日本インベスターズ証券、メリルリンチ日本証券を渡り歩き、三田証券取締役経営企画室長を経て独立した金融のプロだ。

 アスク社は丸紅のライフケアビジネス部(旧メディカル事業部)と二人三脚で医療機関の経営支援を行ってきた。アスク社が医療機関向けの融資やM&Aを、丸紅が医療機器を納入する役回りである。

 LTTは6月27日に開いた株主総会で、丸紅のライフケアビジネス部の現役課長だった山中譲氏(34)を新社長に選出した。山中氏は在宅医療機器販売のエムシーメディカルを経て02年に丸紅に入社。アスク社を担当していた。

 新社長に就任した山中氏は、翌7月に丸紅と業務委託契約を締結。丸紅がアスク社に協力していた医療機器販売をLTTが引き続いて行うものだ。

 アスク社が9月1日、株式交換でLTTの完全子会社になった結果、アスク社の社長で大株主だった斎藤氏がLTT株の26.11%を保有する筆頭株主となり副会長に就任した。創業者の水島氏は会長にとどまっているものの、斎藤氏が新オーナーになったのである。

 このM&Aに疑問を呈したのが東京証券取引所。不適当な合併として、LTTを07年9月1日から11年3月31日まで上場廃止の猶予期間入りとした。東証はアスク社による裏上場と見なしたのである。


丸紅との共同事業を装った詐欺

 アスク社の斎藤氏は丸紅と手を組んで、LTTを医療機関向けの投資事業や事業再生事業に変身させることを狙った。斎藤氏や山中氏、それに丸紅の契約社員などアスク社の関係者は、投資組合を設立して投資ファンドや個人投資家から出資を募った。

 その際、LTTやアスク社の社名では信用されないため、丸紅と共同事業で運用するともちかけた。丸紅が元本と分配金を保証する再生事業の枠組みを強調、投資金を返済できない場合は丸紅が肩代わりするとの保証書を偽造して投資を募っていたのである。

 偽造が発覚する直前の3月7日、LTTは山中社長が「体調不良」を理由に退任したと発表。同時に、斎藤氏が1月27日付けで取締役を退任したことをさりげなく付け加えた。

 新社長に就任した増田央郎氏(37)は帝国データバンクや香港の会社を経て、プロジェンスジャパンを設立して代表取締役。07年10月にLTTの取締役に就き、ヘルスケア事業を担当していた。

 アスク社が破産したとき、預貯金は7,200万円しか残っていなかった。400億円以上集めた資金は、医療機関に投資された以外に、どこに消えたのか。巨額な詐欺事件には、黒幕の存在も噂されている。


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