教育インフラが未整備のカンボジアで、たとえ小学校まででも学校に通える子供たちは、まだ恵まれていると言えるだろう。学校にも通えず、厳しい環境下で働く子供たちも多い。
プノンペン郊外のステン・ミェン・チャイのゴミ山。訪問当日は快晴だったにも関わらず、この周辺はゴミから発せられる塵、埃、自然発火の煙で曇っており、たくさんの人々がゴミを収集・分別していた。
中には、年端もいかない子供も混じっている。ある15歳の孤児(ストリートチルドレン)の少年は、自分の名前すら書けない。「仕事はしたいけど読み書きできないし、将来何もできないと思う」と不安を覗かせていた。
彼らは基本的に鉄クズやアルミ・スチール缶、そしてペットボトルなどを収集する。需要と供給で買い取り価格は変わるが、おおむね1日中働いても1ドルにも満たないのが普通である。コーラ1本が50セントだから、いかに厳しい生活かが分かる。
参加者のひとり萩原さん(11歳)は、「男の子と握手したとき、やせ細った骨の感触がした。何も食べてないのだと感じた」と話していた。また石原さん(14歳)は「同い年の子がこうして厳しい生活をしている。自分がどれだけ裕福かを改めて感じた」と話していた。
巨大なブルドーザーやトラックが行きかい、しかも雨季になるとゴミの合間に空洞ができて落とし穴のようになる。穴に落ちて命を失う子もいるらしく、常に命の危険を伴っているのである。
そんな子供たちに少しでも希望を与えるため、ゴミ山のすぐ近くに彼らを教育するVCAOスクールというものがある。
つづく
【大根田康介】
※記事へのご意見はこちら