新たなる業態構築こそが生き残る術
ターニングポイントを迎えたパチンコ業界
株式会社玉屋は福岡県下に12店舗、佐賀県下に1店舗、計13店舗でパチンコ店を展開する総合娯楽企業だ。飯塚市の合資会社、玉屋遊技場を父から承継し「たかがパチンコ屋、されど玉屋」を謳い、地域密着型の営業展開で企業力と組織力を拡張してきたのが、同社代表取締役、岩見吉朗氏だ。氏は自社だけではなく、業界の在り方、方向性構築にも心をくだいてきた。氏は今、業界がターニングポイントにある事を強く感じている。それは日本遊技関連事業協会、全日本遊技事業協同組合連合会が並んでこの初春、「手軽に安く遊べる」をテーマの議決を行い、業界挙げてパチンコ遊技を大衆娯楽としての原点回帰させる足並みが揃い始めてきた事にも表れている。
「カジノ法案が上程、可決される事態になれば、外資が入り、戦後から発展してきた娯楽産業、パチンコ業界はその外圧にされされることが予想されます。そういう危機感を共通の認識として、業界の存在意義を再構築していかなければならない時期が来ています。業界内には様々な課題が山積しており、その課題に取り組み、解決していかなければ、業界の将来は無いと言っても過言ではありません。幸い福岡は他県に比べ業界がまとまっており、いち早く業界内不正対策に取り組み、又広告宣伝に関しても過剰なまでの自主規制を行い、その活動は全国から注目されています」
福岡での健全な業界作りの先鞭的活動が全国に波及していく事を、中央の業界団体も期待していると言う。
新たなる営業展開を目指して
内なる改革に取り組む姿勢に一本の筋を通してきた氏は、店舗営業戦略にも独自の手腕を発揮している。今回の風営法改正によってギャンブル性の高かったパチスロ4号機9月末までの撤去、5号機導入にも他店に先駆けいち早く取り組み、またギャンブル性を追及する遊技台に依存する営業とは一線を画し、ハイスペックだけではなく、ミドルスペック、ロースペックの遊技台を導入、各種遊技台をバランスよく配置し、顧客ニーズに応じた営業を展開している。
「同じお客様でも日によって投下する金額も違えば、時間の余裕も違います。ですからそれに応じて選択していただけるようになると、まさに手軽に、気軽に遊んでいただけるのではないかと考えています。この取り組みでお客様に良い印象を持っていただける事を望んでいます。私たちの業界はこの『お客様の良い印象』をいかに獲得していくかも大きな課題のひとつなのです。これからはこの多様化、すなわち機械だけに頼る営業ではなく、店舗内のスペース構成を余裕あるものにする事、業界の取り組みを世間の皆様に知っていただく事など、様々な取り組みによってお客様に快適なスペースと時間を提供していく事が重要だと私を含め従業員一同考えています。」新たな業態を形成し、組織として世代交代を図る中で、ローコストで循環型産業へと転進を図りたい、とその戦略の構築を目指す氏と同社、そして業界である。
[プロフィール]
岩見 吉朗 (いわみ きちろう)
1946年12月27日 飯塚市生れ
立教大学経済学部卒業
ホテル、レストラン勤務を経て
1974年 代表取締役 就任
(社)日本遊技関連事業協会九州支部長、本部副会長を歴任、現在同相談役
会社住所:福岡市中央区春吉3丁目12番1号
URL:http://www.tamaya.gr.jp/
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