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特別取材

No.023┃(株)サンコーテクノ 中村 守 氏 | 福岡への提言200人
特別取材
2008年4月 8日 10:35

「ものづくり」の気概を携えて

水産養殖業界に貢献

 今年3月16日、61歳で他界した(株)サンコーテクノの前社長・中村智寛氏。今回、智寛氏の弟である中村守氏が新社長に就任した。その卓越した技術力で、水産養殖業界における様々な機械を製造、販売し、その業界で60%以上のシェアを占める同社。「私たちが誇る技術力を駆使し、常に新しいことに挑戦していく」(守氏)という言葉からもわかる通り、脈々と続く同社の「ものづくり」の気概は、智寛氏から守氏へと確実に伝わっている。
 1984年の設立以来、水産養殖場で使用する調餌造粒機を主軸にしながら、養殖場で用いられる機械のほとんどを製造・販売してきた。調餌造粒機とは配合飼料と生えさとなる魚を撹拌してペレット状にする機械。そのほか、出来上がったペレット状のえさを撒く投餌機、出荷する際に魚の大きさごとに自動で選別できる機械、鮮度を保ったまま出荷するための生きしめ機(血抜き処理機)、出荷最終工程の氷打ち機(発泡スチロールに氷を詰める作業)など、養殖業におけるすべての作業工程で使用する機械の製造を一手に担っている。
 このすべての機械を製造しているという点こそ同社の強みだ。同業他社では、造粒機なら造粒機だけというように限定して製造しているため、その前後の作業工程を考慮して設計しているわけではない。そのため、作業間ごとにロスが発生しやすく、とても効率的とは言えない。同社の場合、各々の機械が、すべての作業工程を考慮に入れて設計されているため、ロスを最小限に抑えることができるのだ。
 こういったことが可能なのも、同社の技術力あってこそであろう。無いものはつくる。顧客からの声をそのまま反映させることのできる技術力が同社最大の武器と言える。

変わらぬ気概

 その技術力をもって、水産養殖用の機械以外の分野にも進出している。昨今、さまざまなところで環境問題について語られることが多いが、同社の場合も、その技術力を活かして件の問題に取り組んでいる。そのひとつが密閉型高速乾燥発酵処理装置だ。これは食品工場などから出される廃棄物や、家畜の糞などを高速で乾燥させて、最終的に粒状の有機肥料にしてしまう装置で、同社の造粒機における撹拌技術と、ペレット化技術を応用させたものとなっている。そのほかにも「現在、燃料関係の新技術にも取り組んでいる」(守氏)と話し、変わらぬ「ものづくり」の気概を見せつけてくれた。
 技術力は財産であり、日本の誇りである。とくに、これまで試行錯誤しながら積み重ね、練磨してきた技術力というのは、どんな困難にも打ち勝てる力となる。地場製造業が決して忘れてはいけないもの。それは同社に見る「ものづくり」の気概であろう。


[プロフィール]
中村 守 (なかむら まもる)
株式会社サンコーテクノ 代表取締役社長

住所:福岡市南区高木2-16-20
電話:092-582-1421
URL:http://www.sanko-techno.net/index.html



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