最後の南極観測を終えて今年8月に退役する南極観測船「しらせ」を保存する引き取り先が見つからず、南極地域観測統合推進本部(本部長・渡海文部科学相)は、これまで地方公共団体に限っていた募集対象を企業など一般にも広げると発表した。
応募がないのは、年間1億円以上ともいわれる維持費が一因だが、このままでは貴重な遺産が「鉄くず」になってしまうと同本部は危機感を強めている。
同本部は昨夏から引き取り先を募集しており、引き渡しの条件としては
<1>時価(10億円超)で買い取る
<2>南極観測への関心と理解の増進に役立てる
<3>今年12月末までに引き取る
・・・などを挙げている。
「しらせ」は、全長134メートル、幅28メートル、基準排水量1万1600トン。1983年に就航したが、船体の老朽化が激しく、今月12日に最後の南極観測から帰国後、8月の退役が決まっている。
「宗谷」「ふじ」の過去2代の南極観測船は、日本の南極観測活動を伝える貴重な遺産として、東京と名古屋の財団が保存し、展示している。
※「しらせ」は自衛艦のため、売却先は国内の団体に限り、第三者への転売を禁じ、用途を「国民の南極観測への理解増進に役立つように保存活用する」と指定されている。
▼関連リンク
⇒南極観測船「しらせ」の後利用について-文部科学省
※記事へのご意見はこちら