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特別取材

「とべとべ北九州空港特集」(1) (株)スターフライヤー 代表取締役 社長 堀 高明 氏
特別取材
2008年4月 8日 10:40

好調の翼スターフライヤー
上質な空間で空の旅を

 ライト兄弟がフライヤー号で初めて空を舞った日からちょうど100年目の日を設立日に持つ(株)スターフライヤー。航空業界にとって聖なる名称と記念日を背負い、北九州都市圏から翼を広げる同社は、順調な航跡を残しつつ2年が経過した。昨年夏には1日11往復を就航させる北九州⇔羽田(東京)線の搭乗者数が100万人を突破。2007年の搭乗率は前年比約10%上昇し70%となった。その好調を支える秘密を堀社長に聞く。


最上のホスピタリティーを

 —6月に全日本空輸(ANA)とのコードシェアが始まり、一挙に搭乗率が上がりましたが、それ以前からも徐々に搭乗率が上向く傾向がありました。その要因はどこにあったとお考えですか。
  都市圏での知名度アップのための努力や、九州内でのお客様拡大など営業面での努力をしてきましたが、何よりも、就航率、定時出発率が業界最高位水準にあり、安全面での安心感があることと就航当初から心がけてきた最上のホスピタリティーでお客様をお向えするということを実直にやって来たことが受け入れられたのだと思います。「もっと便利、もっと快適、もっと優しく、もっと挑戦、そして感動のある航空会社を目指す」ということを社員間の合い言葉にやってきました。新規航空会社だから、価格は安いけれどもサービスはそこそこということではなく、大手に負けない、それ以上の接客を機内はもちろん、カウンターでお客様にチケットをお渡しする所から実現しようという努力が実ったのだと思っています。
 —コーポレートカラーを「黒」に持ってきたトータルデザインの成功がエアラインとしてのクオリティを一層高めているかとも思いますが。
  「Posy」や「PINO」といったロボットデザイナーとして知られる松井龍哉氏にトータルデザインをお願いしました。コーポレートカラーを黒にという提案は刺激的でした。「Mother Comet」(母なる彗星)をデザインのコンセプトに据え、「広大な宇宙」と「21世紀のモダンエアライン」というキーワードの2本柱で話を進めていきました。チケットからサービスカウンター、当社の使用機体エアバスA320の内外装までトータルでお任せしました。黒を基調にすべてをデザインしてしまうというのは大変な冒険でしたが就航して2年が経つ今、そのこだわりが色々な面で結実しています。結実の1つはデザイン性が高いエアラインとして他社との選別化に役していること。もう1点は黒を基調にしたモノトーンの客室が、お客様に安らぎを提供する効果があるようで好評なことです。


ホークスもSMAPも便利に使用

 —座席をはじめハード面も好評ですね。
  エアバスA320の座席は通常170席程度ですが、当社使用機は144席まで減らしています。それによって12センチ座席空間を広く確保しています。また、ブラックレザーで統一し高級感を楽しんで頂けます。PCなどのOA機器を使用して頂くための電源コンセントや液晶テレビを各席に用意していまして、ビジネスユーズには最適かと思います。
 —ホークスやスマップも深夜便を使ったそうですが。
  WBCで日本が優勝した時、王監督が翌日の練習のために羽田発の当社深夜便を使ってもらい、北九州空港へ降りてもらいました。スマップはその逆で、福岡市内でのコンサートを終えたあと、北九州発の最終便で都内へ戻ってもらったことがありました。その後、何かの雑誌に木村拓哉さんが「スターフライヤーはデザインがおしゃれでカッコいい」と言ってくれたことが掲載されて、わが社の女子社員たちが喜んでいました。
 —ホークスやスマップの例を見ても深夜便、早朝便をうまく使えば便利ですね。
  北九州発の早朝便は5:30発と6:45発があります。前者は7:00前には羽田に到着します。羽田からの帰りの深夜便は21:35発と23:10発です。これら早朝便と深夜便をうまく使用して頂ければ、都内での滞在に半日分の余裕ができます。空港駐車場も24時間390円ですし、博多からの乗り合いタクシーも便利です。北九州空港5:30発を博多から利用する場合には博多駅前のホテルセントラーザ横から3:30発の乗り合いタクシーがあります。(要予約:北九州第一交通TEL:093-512-5030)


前年比10%上昇の搭乗率

 —搭乗率も上がり、定時出発率も高く、運用という面でも手堅いようですね。
  2007年の平均搭乗率は70.2%で、1年目の06年(3〜12月)59.0%から約10ポイント上積みしました。昨年6月に始まったANAとのコードシェア(共同運航)で首都圏での知名度が高まったことに加え、減便で営業効率が高まったことも要因です。昨年12月の平均搭乗率は78.5%で、前年同月を22.0ポイント上回りました。定時出発率と言いまして、定刻の15分以内に出発出来たかどうかを計る基準がありますが、94〜95%で当社はトップクラスの成績です。
 —ANAとのコードシェアで一挙に搭乗率が上昇しましたが?
  これには嬉しい誤算がありました。ANAさんに当社便の座席を分けて売ってもらうわけですが、本来当社でチケットを手に入れて頂いていたお客様の相当数がANAさんを通して当社便を利用されるのではないかと予想していました。ところが、これまでのお客様は、変わらず当社でチケットを求められ、一方でANAさんからのお客様が新しく加わるという結果になったのです。コードシェアで首都圏での知名度が上がり、新たなお客様にご搭乗頂いたこと、そしてこれまで利用して頂いていたお客様が引き続きスターフライヤーを可愛がって下さるということに感謝いたしております。


就航3年目へ、好調なフライト

 —来期黒字化はほぼ確実のようですが。
  就航して間もない一昨年上期に、福岡⇔羽田線との間で激しいディスカウント合戦がありました。就航当初の新規航空会社としてはきつい価格競争でしたが、我慢をしました。初年度はそのような調子でしたが、2年目に入った昨年は、当社の認知度向上で4月、5月は10%弱ぐらいのプラスで持ち直しました。6月に始めたANAとのコードシェアが、先ほども申し上げましたように予想以上の好結果を生み、9月から飛びはじめた関空⇔羽田線も好調です。
 この状況を、そのまま、就航3年目となる来期まで持って行き、黒字化できると自信を持っています。


母港・北九州空港の機能

 —アクセスについてどう思われますか。
  開港2年が経ち北九州空港は年間120万人の方々を首都圏との間で運んでいますが、もともと北九州都市圏には、首都圏との間に年間200万人の移動客があります。同空港が開港する以前は、そのうち100万人程度は福岡空港利用、70万人程度が新幹線で、旧空港利用による東京方面への移動は30万人程度で15%に過ぎませんでした。羽田線の便数が少なかったことと就航率が悪かった点がこのような数値の原因であったかと思います。旧空港に車を置いて羽田へ飛んだものの、北九州空港の天候不良で着陸できず、帰りは福岡空港となり、車を取るためだけにわざわざ空港へというような不便なケースもあったのです。

 新空港になってからの羽田線は当社とJALとで往復15便となりました。また1日390円という低廉な料金の駐車場があります。空港を利用されるお客様の半数がマイカーのようですが、自宅のドアから、このお安い駐車料金を利用してエアターミナルまで手軽に車を寄せられます。都市圏から空港へのバス路線も整備されていますし、先ほど紹介した福岡市内や北九州都市圏からの乗り合いタクシーなどもアクセスを便利にしています。最後は軌道系のアクセスを、ということになりますが、空港への鉄道の乗り入れは年間400万人の利用が見込めればペイするとのことで、こちらはわれわれ空港関係者の今後の努力次第です。

 —24時間運用可能空港である事は大変な強みと思いますが。
  現在、国内で事実上、旅客、貨物とも24時間動いている空港は北九州空港だけと言えます。午前1時に羽田からの当社機が着陸すると、その後、未明にかけてギャラクシーエアーラインズが物流で動いています。この時間帯は北九州都市圏が唯一1時間半で東京と繋がる最も近い地方都市となっている、とも言えるわけです。その後は、われわれが5時半発羽田線早朝始発便の離陸準備にかかります。空港内のコンビニも24時間営業ですし、北九州空港は事実上24時間休みなく動いています。
 空港自体は深夜、早朝動いていても、利用者側としてはどうか、という問題があります。羽田でも関空でも朝早い便や、最終到着便を利用する場合、空港までの寄り付き、また空港から会社や自宅までたどり着くための公共交通機関が思うように動いていないということがあります。となると、どうしても高いコストを負担してマイカーやタクシーを利用することになります。これはアクセスの話しとも重なりますが、北九州空港は破格に安い料金の駐車場があることで、低コストで24時間動く空港の機能を利用者の立場からも充分に活用できます。


増便への要望

 —羽田線増便の要望が強いようですが。
  2010年10月に羽田の第4滑走路の共用が始まります。そこで離発着枠をとることはできるのですが、その前になんとかできないか現在、航空局にお願いをしています。朝の羽田への2便や戻りの夕刻の2便などは9割を超える利用率で乗れないという、お客様からの御叱りの声がよくあります。特に週末には予約が一杯でお客様にご迷惑をかけているような状況です。いろいろとハードルはありますがなんとか、羽田の第4滑走路供用前の増便の実現にお願いを続けて参ります。
 —昨年9月就航の羽田⇔関空線は好調のようですが今後の新規路線の計画はありますか。
  今のところ、国内は新規路線よりも羽田線の増便が先と考えています。中期的には、先ほど話しました、羽田側の離発着枠が広がる2010年秋をメドに、福岡⇔羽田線就航の可能性については考えています。当社は福岡都市圏からの投資も受けています。福岡から、スターフライャーの離陸に手を貸して下さった皆様への責任を果たすという意味合いからも実現したいと思っています。経済界からは韓国へ飛んで欲しいという要望が強くあるようですが、現在、当社の主要なスタッフが夏までにチャーター便を仁川空港へ飛ばすという計画を検討しています。週末に北九州空港を出て2泊して戻ってくる「土日周遊便」とでも呼べるチヤーター便を飛ばす話を進めています。当社としては初めてとなる国際線チヤーター便の実績をつくり、その後、韓国側から北九州空港へ飛びたいという、あちらの航空会社もあるようですから、そのような所と相互乗り入れができるような形で就航当初からの当社への期待でもある韓国との間の定期便もいずれは実現したいと思っています。
 —地場企業に出資を募り開業を果たしたスターフライヤーをビジネスモデルに韓国の釜山地域の企業12社が245億ウォンを共同出資して昨年8月にエア釜山(旧名称・釜山国際航空)が設立したという話を聞いています。
  当社をはじめ、行政や空港に関わる企業などの視察のために、昨年、関係者が北九州にこられました。エア釜山は韓国国内線をはじめ、日本、中国など国際線への就航も目標にされていますから、当社のビジネスパートナーとして今後も交流を続けていきます。このような動きも含めて相互に行き来が増えてきた現状は航空会社にとってもよいことであり、国境を超えた地域間の交流促進という点でも良い状況になってきています。
 —最上のホスピタリティーと高い安全性を保持し、やすらぎと安心の翼として国内、そして海外へとスターフライヤーの翼は羽ばたきを増すようですね。3年目に向けてエアバスA320のブラックボディーが確実に上昇気流をつかんでいる、そんな感じを受けるお話しでした。ありがとうございました。
  ありがとうございました。

[プロフィール]
堀 高明 氏 (※「高」は「はしごたか」)
1949年 長崎県生まれ
1973年 日本航空インターナショナル(株)入社
1993年 エクセル航空(株)入社
1996年 エクセル航空(株)代表取締役社長
東京、横浜のヘリコプター・ナイト・クルージング
ドクターヘリ・サービスなどを事業化
2002年 (株)スターフライヤー設立
代表取締役社長就任



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