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特別取材

「とべとべ北九州空港特集」(2) 北九州エアターミナル(株) 代表取締役社長 奥野 照章 氏
特別取材
2008年4月 9日 09:42

「小さく産んで大きく育てる」
24時間稼働するエアターミナル

北九州空港は羽田(東京)発のスターフライヤー最終便が25:00(午前1:00)に到着すると、その後、深夜にわたってギャラクシーエアラインズの貨物便が飛来する。ギャラクシー機が荷を満載にして首都圏へ飛び立つと、午前5時30分発のスターフライヤー羽田線、早朝始発便が離陸に向けて準備を始める。空港内コンビニも24時間営業し休まない。2,500メートル滑走路1本で小さく生まれた同空港は、昼夜休まず動きながら2年を経て確実に育っているようだ。その育ち具合をエアターミナルからの視点で奥野社長に聞いた。


2007年度も搭乗者数120万人突破

 —北九州空港の旅客数は今年度も100万人を突破し、開港から2年連続大台に乗りました。
 奥野 年度内には、前年度の127万人台に近づくかと思います。
 —マイナス要因もいくつかあったようですが。
 奥野 主力の羽田線で、スターフライヤーの2便減便、日本航空(JAL)の小型化により、座席提供数が約5割減となったことですね。小牧(名古屋)線も廃止。上海・ウラジオストクの国際定期便旅客数は前年比3分の2に落ち込みました。このまま、搭乗率が2006年度並で行けば、利用者は15万人から20万人の減となっていました。ところが、スターフライヤーが6月から始めた全日空(ANA)とのコードシェア(運行航空会社の座席の一部を提携航空会社が自社便として販売すること)がうまくいき、搭乗率を前年比15%増まであげたことが、2年目のハンディを撥ね退けてくれました。
 —ターミナルで足湯が楽しめますね。連絡橋を含めた素晴らしい海の眺望を一望できますし、クイックマッサージのコーナーもあって、「癒し」のエアターミナルとでも言えそうです。季節に合わせたイベントも空港内では盛んに行われ、来館者数の方も好調ですね。
 奥野 4月にはターミナル隣接地に東横インがオープンしますが、隣接施設も含めてアミューズメント性を高めるような方向で、空港施設全体に楽しさを創出し、一層、來館者数を増やせればと思っています。
 —1日390円という空港駐車場の料金は破格の安さですね。総延長8キロの連絡橋も無料(関西国際航空、中部際空港などの連絡橋は有料)で、クルマによる利用では本当に便利です。
 奥野 東九州自動車道苅田北九州空港インターチェンジを使えば、福岡市の天神地区からでも50分です。私も福岡市内で会議などがある場合には当社オフィスから1時間かからずに到着でき、恩恵を被っています。
 —公共交通機関によるアクセスも一層充実してきたようですね。
 奥野 エアポートバスは西鉄バス北九州(株)・サンデン交通(株)・北九州市交通局で6路線が走っています。昨年8月からは、小倉駅バスセンターからノンストップバスの運行を西鉄バス北九州(株)が始めました。乗り合いタクシー(要予約)も北九州都市圏はもちろん、福岡市の天神・博多駅前地区からも出ています。そして最後には、軌道系のアクセスという話になります。新幹線やモノレールの延伸などが地元の強い要望としてありますが、これには400万人の利用者が見込まれなければペイできないという試算があります。こちらは、私たち空港関係者の今後の頑張り次第ということでしょう。


小さく産んで大きく育てる

 —開港当初からの「小さく産んで大きく育てる空港」というキャッチフレーズがあります。07年度はスターフライヤーとANAのコードシェアの成功が「大きく育てる」要因の1つになったと思いますが、今後の話としては、新規路線開拓などなにか一層「大きく育てる」要因はありますか。
 奥野 羽田線増便がまず1番目の課題だと思います。同路線には朝夕混雑時は座席を取りにくい状況があり、この時間帯への増便と、7時台、9時台など飛んでいない時間帯を埋めて1時間に最低1便は飛んでいるタイムテーブルにすることが理想です。新規路線の要望としては、北海道や、トヨタ自動車のお膝元である中部国際空港への路線が考えられます。また、九州では宮崎線の期待もあります。国際線の方は、この夏にも韓国の済州航空がソウル(仁川)線、マカオエクスプレスがマカオ線のチヤーター便を週2、3往復させる予定もあります。ソウル(仁川)線チヤーター便についてはスターフライヤーも将来に向けて検討しているようです。


貨物拠点空港として

 —07年10月までの航空貨物取り扱い量は5,150トンで旧空港時代の05年の374トンと比較すると驚異的な伸びと言えますね。
 奥野 現在、貨物航空会社・ギャラクシーエアラインズ(東京)が羽田便を深夜に運航しています。クリスマス用のシクラメンや傷付きやすく陸送では遠方への出荷が困難であったイチジクなどを空輸し、地域の農産品新興に貢献しています。昨秋には、ボジョレ・ヌーボーを満載した国際貨物チャーター便を受け入れました。日本通運は、旅客便として就航している上海線を利用して中国向けの荷を取り扱っていますが、去る2月には同空港を発地として荷を出せる海外の着地を11カ所拡大させました。このように実績を積むことで、国際貨物についても将来は定期便を飛ばしたいですね。
 —最後に空港の将来像をお聞かせください。
 奥野 北部九州の中で、北九州空港をどう位置付けるのかという議論がまず必要ですが、私としては、24時間運用の特色を生かし、貨物を中心とする国際化に向けた整備、具体的には、今後、滑走路延長等に取り組むべきだと思っています。
 —本日は、ターミナルビルから見た、北九州空港の今後というお話しで、大変参考になりました。ありがとうございました。
 奥野 こちらこそ、ありがとうございました。


[プロフィール]
奥野 照章 氏
1942年 福岡県出身
1966年 北九州市入職
1988年 企画局新空港対策室次長
1992年 企画局新空港対策室長
1997年 環境局長
2002年 北九州エアターミナル株式会社副社長
2005年 北九州エアターミナル株式会社
代表取締役社長就任



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