長崎地区で11期連続して無選挙で町長を選出している町がある。長崎市に隣接する長崎県西彼杵郡長与町だ。人口は約4万2,200人、町の中心を長与川が流れ、長崎市に比べてなだらかな地形をもつことで近年戸建住宅、マンションが立ち並び長崎市のベットタウンとして発展を遂げている。
確かに、ベットタウンとして急激に人口が増加したのだが、勤務先の大半は長崎市であるため昼間の人口は少なく、また、移入した新住宅が多いことから町長選には関心が薄いといわれている。こうした背景もあり長い間、地縁血縁の関係者の内々だけで政治が盛り上がってきたきらいがあり、その結果43年に及ぶ町長選は無投票選挙となったとされている。

　その長与町の町議選の立候補し風穴を開ける人が出てきたようだ。取材した町民の話では「現職に対抗して出馬する人が現れたと聞きました。ただ、どんな人物かよくわからないのでなんともいえない」「ほんと長い間、町長選挙は無投票だったので、たまには選挙もいいのではないでしょうか」と政治に関心が薄い町民も町長選に意識が向いている様子である。また、「長崎市のベットタウンとして発展したこの町ですが、焼却炉建設の討議が山場を迎えていることから、今回の件で情報公開されることに期待したいですね」との声も聞かれた。今回も無風と言われた選挙にも対抗馬がでてきたことで、町の選挙管理委員会も大あらわである。

　しかし、もう一方では町長選に対抗馬として立候補したら強い圧力を受ける地場志向の強い地域だったとも聞かれ、「住みよい町になったので、あまり波風は立てて欲しくないですね」といった声も聞かれることも事実。

　どうあれ、11期43年も無風状態とは、あまりにも民主主義とはかけ離れている感じがする。人口が減少傾向となっている過疎地での町長選ならいざ知らず、市規模の人口を持つ自治体としてはもっと政治への関心が高まってもいいのでは・・・。

　今回、対抗馬の立候補で選挙戦に入った同町。長らく続いた無投票選挙に終止符を打った勇気ある人物に敬意を払いたい。
　

※記事へのご意見はこちら