4月15日から「後期高齢者医療制度」がスタートした。すこぶる評判が悪い。そもそも高齢者を75歳を境に前期後期と分けることが、75歳になれば「もう人生終わりだよ。」と区切られているみたいで、うれしいとは思えない。老人に対する暖かさがない。厚生労働省の役人が、深く考えもせず名称をつけたのだろう。今月の年金から保険料を自動的に徴収することになり大騒動になっている。
取りやすい、しかも僅かな国民年金の支給額から徴収するのである。役所に国民の目線に立つ姿勢がないことがはっきりみて取れる。老人には大金持ちもたくさんいる。逆に僅かな年金月額、5万~10万位の年金で細々生計を立てている人たちもたくさんいる。この制度の目的は何なのか。従来の制度がどのように改善され、老人医療制度は持続できるのか。きめの細かい情報が出されていない。官僚の言うがまま、政治家がこの制度をはっきり説明できないのは、将来、保険料が上がったり、医療受診にも制約があるので、意図的にぼかしておこうとしているのではないだろうか。うがってみたくもなる。
政治家の無能力にはあきれるばかり。自民党の二世議員は全議員の51%、野党も含めれば全体の36%が二世議員である。これは先進国では絶対にありえないことだ。二世議員は恵まれた生活環境で育った坊ちゃん達、底辺の生活苦にあえぐ人たちの苦しみはわかろうはずがない。そんな坊ちゃん議員達が、膨大な赤字を抱える医療保険をなんとかしなければと考えついた。
こんな医療制度がいとも簡単に法案化され、実施されたのである。庶民の生活を知らない日本の政治家に期待しても、裏切られるだけだ。このシリーズのNO.7で述べたように、この国には、欧米の政治家のように、国家、国民のため命を捧げる気概を持つ真のエリートはいない。親から地盤を受け継いでいる政治家に地元企業との癒着はあっても、国民のために命を賭ける人はいない。だからこのような法律が平然と出てくるのである。国民に夢を与えるどころか、老人は早く死ねと言わんばかりに聞こえる。
こんなことをしていれば、日本国民は夢も希望もなくし、活力のない国に成り下がるだろう。次元は違うが、積水ハウスの活力が落ちているように見えるのは、和田社長が社員に夢を与えてないからではないか。元田鍋社長は、会社、役員、社員は運命共同体といつも言っていた。権力で支配し、管理し、命令で人を動かしたら、動脈硬化を起こす。そんな硬直した会社からは創造も開発も生まれないと言っていた。社員がついてくるのは、社長の肩書きでなく、心の暖かさである。あの人ために頑張ろうと思われる、人間性が豊かなことがトップにふさわしい。とも言っている。数々の危機を乗り越えてきたのは、田鍋の人柄が全社一丸、燃える集団となり、強制されるのでなく、自発的に頑張ったからだ。和田社長が笛吹いても、見せかけで踊るフリをしているだけで、本物ではないのではないか。
田鍋は、業績が悪い時は「成績が悪いのは上が悪い」として、賞与は上に薄く下に厚くした。社員は意気に感じないわけにはいかなかった。積水ハウスの伝統、運命協同体として一丸となれるよう、立て直す時ではないか。
野口孫子 (敬称略)
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