日本の誇り「関門トンネル」
源平壇ノ浦の合戦で有名な早鞆の瀬戸がある関門海峡。この海峡の下に、世界初の海底鉄道トンネル『関門鉄道トンネル』が走ったのは昭和の戦中でした。少年TとSが小学生の頃です。「海の底を汽車が走るそうな」夢の様な話に少年達は心を弾ませました。
明治時代に発想の海底トンネルは、昭和11年(1936)に入って着工、当時最先端と言われたシールド工法で、昭和17・19年に下り線・上り線が完成しています。
続いて、世界初の「夢の海底道路トンネル」が昭和12年に着工されますが、戦争激化で中断され、戦後はGHQの工事中止の動きもあり進捗はままなりませんでしたが、遂に21年の歳月を経て昭和33年(1958)に完成します。80億円と450万人の労働者を投じた大事業でした。
社会人となっていた、かつての少年TとSは、日本人の忍耐強さに快哉を叫ぶのでした。車道と人道が走る二層構造の『関門国道トンネル』は、去る3月9日に開通50周年の記念式典が挙行され、いまや本州と九州を結ぶ大動脈となっています。
更に、緩やかに潜る線形で新幹線の高速運転を実現した『新関門トンネル』が、昭和45年(1970)に着工され、劣悪な地層と海底湧水を克服して、昭和49年(1974)に完成されています。日本のトンネル掘削技術や工事推進技術の向上は目覚しく世界をリードしています。関門トンネルの後も、「青函トンネル」「八甲田トンネル」など次々と大工事を完工し、英仏海峡を結ぶ「ユーロトンネル」等多くの長大トンネルプロジェクトに活かされているのです。
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