次に、区全体としての課題を尋ねた。
「課題は交通です。とくに西部地区の交通ですね。実は、福岡市の耕地の約55%は西区が占めています。農作物は道路を利用しての出荷となるわけですが、西区には、基幹となる道路がありません。これには、やはり行政としてバックアップが必要です」。
西区は、唐津街道が北側に通っている以外は、基幹となる道路がない。農作物は道路を使っての運搬となるだけに、これには行政のバックアップが必要だと、岩崎区長は話す。
「それとは逆に、西部地域は地域コミュニティが豊かです。一方、都市部の東部地域はそれが薄い。地域の特性に合った政策を行なうことが大切ですね」。(岩崎区長)
地域の特性に合った政策を、有効に使い分けることが、姪浜駅を中心とする市街化区域と、福岡市の耕地の約55%を有する市街化調整区域が共存する西区にとって、非常に重要なことなのである。
そういった考えのもと、岩崎区長は昨年、半年間で、西区の21校区すべてを自ら回ったとのこと。地元の住民からの意見を20年度の政策に生かすためである。わずか半年間で21校区すべてを回ることは、非常にタイトなスケジュールだったことがうかがえる。このことからも、岩崎区長が地元住民の「生の声」を重要に思っていることがわかる。
また、校区担当部長も設置し、住民の意見を引き出しやすい体制も整えている。
次に、防災について尋ねた。
「地域の方々が自主防災組織を作っています。行政として何ができるか、ということなんですが、そういった地域の方々と一緒になって活動することがもっとも大事だと思います。災害時の避難所は公民館なのですが、「場所がわからない」という意見を住民の方からいただきました。そこで区として、公民館の場所がすぐにわかるように、案内板を設置しました。こういったように、行政が防災の『ハード面』を手伝い、『ソフト面』である住民の方々の自主防災の意識付けを行なうことが、防災にとって重要です」。
西区といえば、3年前の西方沖地震が発生した区である。そのため住民と行政の防災に対する意識は非常に高い。
西方沖地震の際、玄界島の被害はさることながら、北崎や今津の被害も甚大であった。現在今津では、モデル事業として、マニュアルなどを作成して自主防災の在り方の検討を進めているとのことである。
つづく
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