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積水ハウス100周年を目指して (13) 人間愛なくして危機は乗り切れず 2 | 愛する積水シリーズ
連載コラム
2008年4月21日 10:10

新渡戸稲造「武士道」のなかに、武士道の柱になっている価値観、即ち、義、勇、仁がある。義は孟子の言う「人の道」、卑怯を憎む心である。勇は、孔子の言う「義を見てせざるは勇なきなり」。これは義を実行することである。仁とは「人の心」慈愛、愛情、惻隠の情(他者、弱き人への思いやり)
を言う。仁とは積水ハウスの根本哲学に掲げている「人間愛」である。元社長田鍋が制定した「人間愛」は武士道の精神である。積水ハウスはお客さん、協力工事店、職人、取引先、社員に対して
この精神規範で事業を行うと宣言したのである。このことを今の社長以下役員幹部が理解して、経営しているのか、いささか疑問である。積水ハウスの会社案内には、堂々と人間愛を掲げている。わかったフリしているだけで、幹部は自分の地位保全に汲々としてるのが実態ではないだろうか。優秀な新入社員が毎年この「人間愛」に惹かれて入社してくるが、上司、幹部の実態を見て、描いた理想とはほど遠いことを実感し、多くが深い挫折感で退社していく。契約数字だけで人格があるかのように扱われるのである。能力のない幹部は、この辞めていく社員を負け犬として扱い、何ら責任も持たない。こんなモラールの低い組織に活力が出るわけがない。

元社長田鍋は、「若い社員が思いっきりやれる環境をつくるのが上司の仕事、失敗しても、社員が育つための授業料と思えば安いもの。」と、社員を育てる姿勢を見せていた。これこそ武士道の教える惻隠の情、人間愛なのだ。今の積水ハウスの社長、幹部役員の中に、田鍋のような真のエリートと言われる人はいない。真のエリートとは歴史、文学、哲学、科学、芸術、などの豊かな教養を身につけていて、社員とは比較にならない「大局観」「総合判断力」を持ち、いざとなれば会社のため、社員のため、辞職も持さない人間である。今の積水ハウスの幹部は目を上につけている平目のように、上役、和田社長だけを見て部下を見ない組織になっているのではないだろうか。田鍋は「人間、好き嫌いはあるが、上役に甘言を弄する人間を警戒すべき。苦言を呈したり、問題を前向きに提起する人間を重用すべき。」と人事の公平性を唱えていた。しかし和田社長になり、社内では「きしめん人事」と揶揄されるくらい、自分の出身母体の中部、名古屋地区の幹部を次々と全国の要職に配置したのである。このような背景で、内部の不満は全国に静かにたまっていったのである。このことも積水ハウスの活力を奪っていった要因のひとつでもある。今こそ田鍋が築いた「人間愛」の原点に戻り、組織の活性化を図るべきときだろう。


野口孫子     (敬称略)


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