ＦＭＣ構想がもし実現すれば、つまり、「官」と「学」の垣根を越えることによってどのような具体的なメリットがあるのか。

　市立子ども病院には、まず診療面では、
◆血漿交換、血液透析、脳低温療法などの緊急治療のための搬送が容易になる。
◆九大病院の脳外科、皮膚科などへの依頼、相談ができるようになり、診療領域及び対象が拡大充実する。
◆基礎疾患がある患者が成人になり（キャリーオーバー）、小児系医師として専門外の対応が必要になったとき、新たな主治医との意見交換ができ、治療が容易になり、患者の安心にも繋がる。
◆小児・周産期救急を拠点化できる。
◆小児・周産期系医師の確保及び医師のQOL(Quality Of Life)を向上できる。
◆医療機器の効率的利用が可能になる。

これらが考えられ、次に、教育面では
◆研修や高度の治療への参加が容易になり、卒後医学教育が促進される
◆レジデント医師（制度変更前の「研修医」）の確保が促進される。
◆九大のe-leaning 、附属図書館電子サービスなどの情報基盤を利用でき、医師としてのモチベーションアップに繋がる。
◆コメディカルスタッフ（医師・看護婦以外の医療従事者）の専門教育の充実

　さらには、研究面でも、小児・周産期領域の基礎臨床研究の促進及び高度先進医療の開発に繋がる、という効果が期待できる。

　その結果、市民は、より良い診療環境と、より良い医師、コメディカルスタッフが確保され、より良い小児・周産期医療が受けられる、というメリットを享受できる。
　しかも、交通面でも、九大病院の横に移転すれば、地下鉄が直結しているので、車を持っていない家庭でも利用しやすいのは言うまでもない。

　これだけのメリットがある構想に目をつぶり、人工島への単独移転を強行することに何の意味があるというのか。

つづく

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