不動産業界にとって、改正建築基準法も大きな問題だが、もう一つのハードルも重要な問題。
それは、昨年9月30日に施行された金融商品取引法である。
以前は証券取引法という名称であったが、2006年の改正により、金融先物取引法などの投資商品に関する法律群をこの法律に統合し、それに伴い、名称が「金融商品取引法」に改題されたものだが、半年間にわたった法の経過措置期間が切れ、4月以降に不動産証券化などに携わるには、原則として金融業者としての登録が必要になる。
この金融商品取引法への対応が、不動産投資ビジネスを進める上での大きなハードルとなることは間違いないだろう。
この法について「幼年期にある不動産証券化産業の市場の欠陥を、政策で補おうとする『経済的規制』」と指摘する専門化もおり、『市場に水を差す』などの批判も多く出ている。
確かに、この法に過剰に反応することで、取引の減少や、新規物件への対応が見送られるなどの「様子見」が増えては本末転倒だが、金融業者としての登録というハードルが新たに増えたのは間違いない。
不動産ビジネスの中心となっていたファンドの中には、計画利回りを下回り、物件の価値が実際より低くなっているものもあり、今後の投資案件を厳しく見つめなおしていることもあって、不動産・ディベロッパー業界は厳しい局面を迎えたといっても良く、厳しい風が吹き始めたようだ。
ただ、金融商品取引法や取り巻く環境の厳しさという障害を乗り越えて、不動産ファンドの組成や不動産投資ビジネスの展開が留まらずに、従来通り積極的に取り組んで、業界を活性化してもらいたい。(結)
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