昨今のわが国の偽装ブレンド米の横行に警鐘を鳴らし続け、正直で健全な米市場形成を目指す福岡農産(株)の中島良一社長。わが国の心である米について、美味しさや品質、そして販売戦略について語っていただいた。
| Company Information 所在地：福岡県田川郡川崎町川崎3986 設 立：1976年11月 資本金：4,500万円 業 種：米穀卸 年 商：（06/5）36億6,585万円 通販サイト： http://www.no1yuki.com/ | 
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積極的な米の販売推進
─さらなる米の流通強化に邁進されておりますね。
中島 今こそお米の美味しさを前面に押し出して、たくさんの方々に美味しいご飯を食べていただきたいですね。最近の発表で、大手製粉会社が４月下旬から、業務用の小麦粉を値上げすると。これは、政府が製粉会社への小麦引渡し価格を30％引き上げるためで、上げ幅は10～20％です。よって、小麦粉を使うパン・めん類の小売価格が値上げされるのは、確実ではないでしょうか。そのようななか、米の美味しさを見直し、消費量を向上させていきたいです。
─主食としてバランスが取れているのが米ですね。
中島 そうですね。お米は、炭水化物をはじめとして、たんぱく質・カルシウムが豊富で、玄米ならばビタミンB１・ミネラルの比率が多くなります。体力の源になると、断言できます。
─コストもリーズナブルであると。
中島 平均で１kg400円として、お茶碗１杯に使う量は約50ｇです。換算すると、１杯20円です。有機米は若干高くなりますが、それでも35～40円でしょう。この数値をお分かりいただけたら、どんどんお米を食べていただけると思います。わが国の食料自給率の向上にも貢献できると考えております。
米の味＝美味しさを追求
─米の美味しさとは何でしょうか。
中島 米の味＝美味しさについては、食味や味度（みど）と呼ばれる指標が業界と生産者の間で使われており、銘柄米の価格を決める指針のひとつです。この基準は、1957年に発足した「財団法人穀物検定協会」という公正なる第三者検定機関が、71年産米から毎年全国規模の産地品種について食味ランキングを検定しております。
─ランキングによって公正な検定がされるのですね。
中島 この検定は、炊いた白米を実際に試食して評価する「食味官能試験」と言われまして、複数産地コシヒカリのブレンド米を基準として、これと試験対象産地品種を比較してランキングがつけられます。比較して、とくに良好なものを「特A」とし、以下「A」、「A’」、「B」、そして基準米と比較して劣るものを「B’」として評価し、その結果を発表しております。評価項目は「外観、香り、味、粘り、硬さ、総合」の６項目です。
─「特A」はかなり品質な米なのですね。
中島 そうです。この「特A」は89年より設定され、全国120点程度の産地品種のうち、毎年10数点がこのランキングを受けます。そのなかで、「魚沼産こしひかり」が18年連続で「特A」の評価を受けております。米価格センターによる入札では、同じ新潟産コシヒカリの60％以上も高い落札価格です。
ちなみに、92年に登場した「山形県産内陸地区はえぬき」は13年連続で「特A」評価を受けているのですが、落札価格は魚沼産コシヒカリと比べて60％程度です。魚沼産コシヒカリが突出して、最高ブランドイメージとして定着した稀な事例であります。
─この検定を受けられない生産者がいるのではないですか。
中島 この穀物検定協会による評価の対象は、生産数量が県内の上位３位以内で作付け面積1,500ha以上という枠があり、約8,000tを超える数量がなければ対象になりません。
─基準値に満たない生産者でも、優れた米を産出されるのでは。
中島 基準値に満たない生産者でも、魚沼の米より優れた米を作っているという意欲的な人々やグループが存在します。そのような生産者の声に応える試みで、「米・食味鑑定士協会」という任意団体が主催で、米・食味分析鑑定コンクールがあり、今年で９回目を迎えます。
検定で上位10点が金賞、そのほかは特別優秀賞となります。07年産の場合、出品数2,000点強のうち、基準を超える品種は39点で、直近３年連続受賞品種は４点と、かなり狭き門です。
産地ブランド育成と 販売戦略
─御社はその受賞米を取り扱っておられますね。
中島 はい。当社の分析室で、コンクールと同じ分析計で計測した結果、07年産米は合計178点で、魚沼産コシヒカリの172点を凌ぐものでした。
この品種は、福島県会津美里町の農家が生産したものです。価格は、一般の新潟コシヒカリより少し高い程度で、魚沼産に比べれば30％は安く、コストパフォーマンスは、はるかに優れています。しかし、このクラスの米は生産数量が限られるため、米卸のビジネスとして主力商品にはなりません。
─生産量と流通量のバランスを考慮した販売戦略は、どのような事例がありますか。
中島 近年、コンビニエンスストア業界では「プレミアムおにぎり」が定着しています。原料米として、新潟コシヒカリを前面に打ち出す企業もありますが、会津産コシヒカリや山形産はえぬきを選択すれば、美味しさのレベルを変えることなく10％程度のコスト削減を実現できます。コンビニチェーンへの納入は、数量がまとまるため、安定供給できる大産地品種でなければなりません。
─規模の小さい米専門店はどうでしょうか。
中島 直接顧客に対面販売できる専門店は、細やかな接客が可能です。食味コンクール受賞米クラスのお米が、魚沼産より割安に販売できることをアピールすれば、利益を確保でき、消費者にも喜ばれる代表的な商品となるでしょう。
─では、年商数十億円規模の中堅卸会社の販売戦略はいかがですか。
中島 両者の中間規模で、有力な産地品種を囲い込むことが必要です。「穀物検定協会」が取り組んでいる「米の情報提供システム」では、卸とJAグループで契約したお米に関して、産地履歴提供から、DNA検査、食味検査、残留農薬検査までを実施します。精米監査も定期的に行なわれ、店頭では精米商品に記載された携帯バーコードシールを読み取り、識別番号を入力すれば、履歴から検査結果まで判別できます。
このシステム米のロットは、数百t～千t程度で可能です。よって8,000t以下で「特A」とならない優良産地を見つけ、このシステムに乗せることで、美味しさだけでなく、安心・安全まで担保される付加価値が加わります。当社は、このシステムに先駆的に取り組み、おかげで全国で40社が参加し、商品の取り扱いが伸びております。この情報提供システム米は、意欲ある生産関係者と太いパイプがある中堅卸の差別化商品となるでしょう。
─本日は、貴重な提言ありがとうございました。
福岡農産株式会社 http://www.rice.co.jp/
通販サイト： http://www.no1yuki.com/
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