大和ハウスの樋口会長著の「熱湯経営」によれば、大和ハウスはあ・す・ふ・か・け・つ をキーワードに、来る100周年に向けスタートした。安心安全とスピード、福祉、環境、健康、通信を事業
の主体におくとして、創業50年を迎え、後半の半世紀のスタートをきった。
特に環境についての取り組みは重大で、急がねばならない問題である。世界のエネルギー需要は中国、インドなどの発展に伴い、2030年には1,5倍になると予測されている。大和ハウスは、政府が力を入れているリチウムイオン電池のパイロットカンパニーに資本参加した。
リチウムイオン電池は蓄電能力が高いので、夜間に蓄電できれば発電を省力化できる。このリチウムイオン電池を、ビル、ホテル、住宅に利用することを考えている。また、このリチウムイオン電池を自動車に載せ活用できないか、電気自動車事業開発プロジェクトに参画している38社の中にも大和ハウスの名前がある。電気自動車なら、CO2発生量はガソリン車の4分の一に軽減される。さらには、風力発電を沖縄、能登、四国佐田岬に設置している。大和ハウスが環境問題にまじめに取り組んでいる証と捉えている。
このように、大和ハウスのリーダーは先見性を持って、環境問題も事業化できないか、模索しているのである。積水ハウスもこの問題をあらゆる角度から検討し、全社を上げてCO2削減、省エネについて積極的に取り組んでいる。しかし大和ハウスのように、一歩進んで事業化する検討はなされてないようだ。大和ハウスの樋口会長は「長たるものは、品格は当然、それに加えて、先見力、統率力、判断力、人間力であると。統率力を生み出す源泉は率先垂範、背中である。品格にも通じる無私の心。人間力は沈着果断、言いがたい人間的魅力だ」と。このことは積水ハウスの元社長田鍋とも合い通じるものである。田鍋の無私の姿勢を見て、田鍋の話を聞いて、積水ハウスの社員はいかなる苦難にも奮い立ったのである。「自己益を忘れ、会社益を思え。いやな事実、悪い情報は報告せよ。勇気を持って意見具申せよ。」など樋口会長が若い幹部に説いている。元田鍋社長の「人間愛」の哲学とは次元が違うが、樋口会長が事業に取り組む真摯な姿勢を常に部下に語りかけているのであれば、大和ハウスは住宅不況の時代を乗り越えていく潜在力を持っていると思う。積水ハウスが真に社員一丸となるためには、命令でなく、やる気を引き出すシステム作りであろう。それが出来た歴史を持っている社員はたくさんいる。いつまでも中央集権的な経営を続けていたら、時代から取り残されていくだろう。
野口孫子 (敬称略)
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