人工島整備事業を見直した市の「検証・検討チーム」の最終報告(昨年12月)を受け、吉田宏市長が審議会に今年1月「こども病院の機能」などについて諮問していた。
今のところ、福岡市病院事業運営審議会の専門部会の諮問に対する答申は5月に出され、これを受けて、「正式決定」となる運びになっている。しかし、この「諮問」では「移転場所」については聞いていないのである。
諮問は、
(1)こども病院・感染症センターの機能
(2)福岡市民病院(博多区)の機能
(3)2病院の経営形態
の3点を問うもので、人工島への移転については諮問に盛り込まれなかった。
しかし、審議会では人工島移転に触れる意見が続出。委員からは移転に伴う市全体の医療体制への影響を問う声や、市内の4分の3の産婦人科医が人工島への移転に反対しているなどの意見すら出ている。
例えば、福岡地区小児科医師会(丹々会)という団体が会員に実施したアンケート(135医療機関149名、回答数91(回答率67.4%))によると、「こども病院の移転先はどこが望ましいですか?」との設問に対しては、福岡市内の72.6%の会員が中央区や城南区の候補地を挙げた。
区別にみると東区9%、博多区50%、中央区90%,南区91%、城南区86%、早良区94%、西区75%となっており、具体的には九大六本松跡地や現在地付近が多く、東区の会員でさえも意見は一致しておらず11人中5人しかアイランドシティを指定していなかったという。
また、「候補地に重要なものはなんですか?」という設問に対しては、福岡市内のほとんどの会員が選んだものは交通の便であり94.5%(69/73)、その他災害に強い52.1%(38/73)こと、他の医療機関との距離45.2%(33/73)、広い敷地42.5%(31/73)の順であったそうである。
現場で働く「専門家」の意見を踏まえると、どうやっても「人工島への単独移転」というオプションなど出てきはしないのだ。
そこで、場所については「諮問」から外すなどという姑息な策を弄しているのではないか、という疑念が湧く。
もし「検討・検証チーム」が出した結論に自信があるのなら、堂々と場所についても諮問すればいいはずである。それをやらずに、なぜか答申の素案が3月半ばに出てきたり、それが市の方針を「追認」しているかのような報道がなされるものだから「何かあるのでは」と勘ぐってしまうのである。
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