アイランドシティ整備事業及び市立病院統合移転事業検証・検討 報告書では、子ども病院の移転場所として、九大の六本松キャンパス跡地が選択肢としてあった(第一段階で振り落とされている)。
このことから考えてみても、九大の箱崎地区を移転場所として考えてみても何ら差し支えはないはずだし、制度的な「壁」も九大が独立行政法人(国立大学法人)化した今となってはないに等しい。今や「官学」の連携など珍しくもないし、どうしても無理であれば「特区」制度を活用すればいい。
従って行政手続きの面から「不可能」だとは考えにくい。つまり十分「実行可能」である。
行政側からのアプローチをしてみる価値は十分にある。子ども病院の経営形態についてはこのまま「直営」でいくのか民間資本を活用するPFI(Private Finance Initiative)でいくのかは結論は出てはいないが、FMC構想にすれば、それこそ子ども病院の資産価値が高まり、利用者も増え、資金の調達も容易になるのではないか。
逆に、人工島に単独移転してしまうと、医療の設備、機材、人材の集積が薄く、医師の確保も難しくなり、赤字の拡大は必至である。市の本体でも「財政リニューアルプラン」を策定するほど、財政は逼迫していることを考えれば、「医療事業は公共性が高いので赤字を出してでも直営で」と固執するべきではない。「福岡域内外の利用者のためになる」という視点が担保されていれば経営形態については柔軟に考慮すべきだ。
しかし、一体何が「柔軟な発想」を妨げて、より「効率の良く、利用者のためになる」病院経営から目をそらさせ、「単独移転しかない」というような硬直した考え方に陥らせてしまうのだろうか。
3月21日の条例予算特別委員会総会における高山議員の次の質疑は非常に示唆に富んでいた。
「子ども病院のアイランドシティへの移転は、『銀行への返済』から全てが始まっている。土地の売却の方ばかり見ているが、最近では金融団も不良債権を返し、体力がついてきているし、2~3年前の状況とは違う。最近はとても協力的だし、一度真剣に状況を話し合ってはいかがか。福岡市百年の計を考えた場合に、どうみても、九大との連携案(FMC構想)を無にするには惜しいと思われる」
行政が「誰のために」真剣になる必要があるのかは考えなくてもわかるはずだ。それができないということは何かよからぬ「恣意」が介在しているとでもいうのだろうか。
(つづく)
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