「食」を通し地域に幸を
テーマは「健康と元気」
食卓を囲んでの家族の団欒。子どもたちは学校でのできごとを矢継ぎ早に話し、母親は熱心にそれを聴き、父親はその状況をうれしそうに眺める―。
このような牧歌的な風景は、もはや失われつつある。急速に移り変わりゆく社会構造のなかで、「食」に関する意識も変化しているようだ。内閣府が毎年国会に提出している食育白書(2006年版)によると、1980年の単独世帯率は19.8%であるのに対して、2000年の時点で27.6%になり、2020年の予測では33.1%に達するという。また、毎日家族そろって夕食をとっている人の割合をみると、1976年には36.5%であるのに対して、2004年では25.9%にまで落ち込んでいる。
(株)リ・サイエンス・ラボの山脇弘子社長は「まずは、きちんと食事をとること」を基本とし、「『食』を通じたコミュニケーションで、家族や地域との希薄になった関係を取り戻してもらい、『健康と元気』をテーマにみなさんに喜んでもらいたい」と話す。
地域コミュニティの再生へ
同社は健康補助食品「黒昆玄(クロコゲン)」を販売するだけでなく、毎週金曜日と土曜日に吉塚地蔵前(福岡市博多区吉塚)で、さらに土曜日と日曜日は万葉の湯(福岡市博多区豊)で「青旬市場」を開き、山脇社長の地元であるうきは市吉井で採れた新鮮野菜や、糸島のこだわり農家から仕入れた無農薬野菜などを販売している。山脇社長自ら吉井まで赴き、採れたての新鮮野菜を仕入れに行くという。「吉塚は20年以上前に働いていた思い出の地。そのとき、大変お世話になりました。その恩返しのつもりで青旬市場を開き、地域密着の精神を持って、みなさんの健康と元気のお手伝いができたら幸いです」と山脇社長。
ここで言う「健康と元気のお手伝い」とは、単に体にいい野菜を提供するだけではない。「例えば、失われつつある地域や家族でのコミュニケーション。最近のスーパーなどで、店員さんとお客さんは、ほとんど形式張った会話しかしません。そこに何気ない会話があるだけでも全然違うと思うんです。私やほかの常連さんたちと、お互いに元気なことを確認しあいながら、買い物をしていただく。そして買っていただいた野菜で夕食をつくり、美味しい食事を囲みながら家族でいろんなことを話して欲しい。青旬市場をそういった地域コミュニティの中心にしていきたい」と語るとおり、「食」を通じた交流こそが「健康と元気」の基礎になっているのだ。また、このコミュニケーションの一環として、青旬市場開設当時から、「青旬市場だより」を手作りで発行している。どのように配布しているのかを尋ねると「お客様たちのなかに、今では青旬市場の看板娘のようになった方々がいるんですが、そちらに運動も兼ねてのポスティングをお願いしています。平均年齢は66歳ですが、元気に頑張ってもらっています。恩返しするつもりが、逆に助けられてばかりです」。こういった支えあいの精神も、地域密着ならではのことだろう。
「『食』を通じて、みなさんが幸せになっていただくのが、私の願いです」と語る山脇社長は、今日も元気に笑っている。
[プロフィール]
山脇 弘子(やまわき ひろこ)
(株)リ・サイエンス・ラボ代表取締役社長
1997年(平成9年)、「黒昆玄(クロコゲン)」の開発に着手し、1998年(平成10年)8月に(株)リ・サイエンス・ラボ設立。同商品の販売を始める。
1999年(平成11年)12月には、健康の分野に大きく貢献したとして、日本文化振興会から「社会文化功労賞」を受賞。2002年(平成14年)3月、吉塚8丁目にて産地直送の「青旬市場」を開始。同時に、地元に根ざした異業種交流会「博多青旬会」を結成する。
2006年(平成18年)2月に「青旬市場」を現所在地(吉塚2丁目)に移転。現在は「健康と元気」をテーマに、「黒昆玄」の販売を行いつつ、「青旬市場」や「博多青旬会」など地域に根ざした活動を行っている。
<会社概要>
所在地:福岡市博多区吉塚2-1-37-2F(1Fに青旬市場を併設)
電 話:092-612-7440
FAX:092-612-7441
メール:rabo@d5.dion.ne.jp
H P:http://kurohonpo.com
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