4月28日まで長崎で帆船祭りが行われている。長崎港に六隻の帆船が現れ、その優美な勇姿は人々を魅了している。240年前、一隻の帆船がイギリスの港を出た。その船の名はエンデバー号、日本人の土井さんが乗っていたスペースシャトルの名前である。エンデバーは「努力」という意味で、帆船エンデバーの舵を取っていたのが、キャプテンクックである。南米大陸をまわり、南太平洋探検の航海であった。オーストラリア大陸を発見もした。現代の超ハイテク技術の粋を集めて宇宙に飛び立つスペースシャトルにも、帆船時代の夢が重なっているのである。
4月24日、積水ハウスの株主総会が行われ、平穏のうちに終了した。いよいよ10年にわたる和田体制から、和田、安部の新体制でスタートした。現社長和田が代表権のある会長兼CEO,現専務安部が社長兼COO、という布陣。いよいよ夢と希望を乗せ激動の荒波に向かい船出した。
安部社長は東北の営業畑育ち、個人の実績はトップクラスであった。その実績から東北地区の営業所長、支店長、東北営業本部長、東京営業本部長を歴任、たたき上げの現場主義のリーダーとして実績を上げてきた。安部新社長の第一声は中期経営計画の発表だった。平成21年(2009)1月からの3ヵ年計画の最終年には売り上げ1兆8500億、利益700億を目指すと言う。若者や初めてマイホームを取得する第一次取得層のために「中級商品」を地方限定で売り出すということだ。
地方では高級商品の売上げがないことから苦戦を強いられており、地方に合う商品開発が必要ではないか、と言ったことが積水ハウス経営陣の間で具体化され、主要5工場で生産ラインを統廃合して経費節減も進めながら、中級商品の売り上げ増で稼働率を上げる。
展示場も小規模の店を縮小する。和田会長は海外事業に意欲を見せていた。安倍社長は鋼材等の値上がり、建築基準法改正と言った逆風はあっても、業績悪化の原因を市場に転化することなく、前向きの発想で取り組むと言明。安部は最前線で活躍、現場のことはよく知っていること。温厚でバランス感覚がいいという評価である。現場主義で徹底的に営業を引っ張っていくことだろう。
安部が社長になり、エンデバーに乗って南太平洋の荒波や暴風雨を乗り越え、原住民と戦い疫病と闘い、オーストラリア大陸発見等の数々の偉業をなし遂げたキャプテンクックのように、輝かしい業績に向けて、夢と希望を乗せた船出になることを期待したい。
野口孫子 (敬称略)
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