代表の座を退く大田氏 今度の動向は?
強力なリーダーシップで、長年にわたり(株)ヴァーナル(以下、V社)を引っぱってきた大田勝氏が3月3日に代表取締役を辞任、代わって代表の座に就いたのが室井潔氏である。
室井氏は、飯塚市に本社を置く化粧品販売会社・ミンクルプロダクツ(株)の社長である。化粧品を扱う会社の代表が、同じく化粧品を扱うV社の代表になったわけであるが、これが単なる通常のM&Aではないことは明白だろう。
大田氏辞任の前兆は、すでに07年初頭に見られた。というのも、V社の代理店会議で大田氏は「年内でヴァーナルを捨てる」という発言を行なったようなのだ。
また業界関係者は、今回の大田氏の辞任劇を次のように語る。
「大田氏の一族が新たに会社を起こすにあたって、V社の株式を担保に資金調達を行なったようだが、その会社がうまくいかず、株も資金提供者に移ったため、会社を乗っ取られたかたちとなり、今回の辞任に至ったのではないか」
これが事実だとすれば、大田氏としては非常に悔やまれる話だろう。また、かつては全国長者番付にも名を連ねた大田氏が、まさかその会社を手放すことになるとは夢にも思わなかったのではなかろうか。
なお、大田氏の自宅(登記上)は中央区浄水通りとなっていたが、V社の関係会社であったオオタコーポレーションが今年1月に(株)エヌ・エル・エー(博多区)に売却している。
代表交代で新体制となったV社であるが、置かれている状況は厳しい。同社の製品の愛好者は、かつて約130万人を数えたが、ここ最近は70万人ほどにまで減ってきている。その結果、業績は低下傾向にあり、売上高は年々減少。06年および07年3月期には、100億円の大台を割り込むかたちとなっている。また収益面も、ここ3期中2期が最終赤字となるなど、苦戦している。
今後、V社が昔日のような勢いを取り戻すことは果たしてあるのだろうか。そして、代表の座を失った大田氏は、今後どうなるのであろうか。これからもV社の動向に注目していきたい。
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