青果市場・商業施設・物流拠点・住宅整備 = 避けられぬ交通渋滞
「吉田(市長)さん、分かっているの!?」
人工島への香椎側からの進入経路は、「香椎アイランドブリッジ」と「御島かたらい橋」の2本の橋だけに頼っている。福岡市の内陸側から人工島を目指すとすれば、わざわざ雁ノ巣側に回りこんで海の中道大橋を渡ることはないだろう。
計画では新青果市場への進入車両は、基本的に「香椎アイランドブリッジ」を使用することになっているというが、これは保証の限りではあるまい。青果市場関係車両が、必ずしも「香椎かもめ大橋」を通過して「香椎アイランドブリッジ」を渡り人工島を目指すとは限らない。混雑が予想されれば、別の道すなわち住宅地区を通過する「御島かたらい橋」を利用する車両が増えることは容易に想像がつく。
しかし、「御島かたらい橋」や「香椎アイランドブリッジ」周辺の交通量調査は、前述・青果市場移転対策の「検討報告書」には見当たらない。都合のいい調査の数字としか言いようがない。
こうしたご都合主義の数字を並べる手法は、青果市場の移転計画だけに限定すれば問題ないかもしれないが、人の命にかかわる「こども病院」にも関係するとなれば話は別である。
大型商業施設への車両も流入
市側の資料からも明らかなように、新青果市場が午前中の交通混雑を招来することは明白である。そこにさらに「交通事情を悪化させる施設」を持ってくるというのが、吉田市政の「検証・検討」の結果である。
その施設とは、もちろん大型商業施設である。
中央ゾーンに誘致するという大型商業施設が実現すれば、その車両流入数が、青果市場関係車両台数に加算される。これだけでも大変な交通量である。
人工島の「検証・検討」と青果市場移転問題は、なぜか別々に検討されてきた。交通量の問題については、青果市場の新設時についてのみ推計を出しているに過ぎず、人工島に予定される全ての施設についての車両流入台数については問題提起されていない。
コンテナターミナルの施設整備推進、物流関連企業の進出、新青果市場の誕生、大型商業施設の建設、そして住宅の増加。全てが人工島の2本の橋への交通量の膨大な増加に直結している。
都市高速延伸は「人工島内」の渋滞緩和には効果なし
断っておくが、都市高速を延伸すれば、交通渋滞緩和に役立つという話には、疑問腑をつけざるを得ない。毎日青果市場に通う車両が、必ずしも高速を使うとは思えないし、そもそも一般道の交通混雑の緩和策として高速道路が役に立つというのは、役所側の都合のいい解釈に過ぎない。
いずれにしても人工島内の道路は、整然と作られているだけに抜け道もなく、車両が特定の道路に集中してしまう。つまり、人工島内の交通渋滞は、避けることのできない宿命といっても過言ではないのである。
救急医療施設の建設にあたって、もっとも避けるべき場所が人工島、ということに他ならない。
(つづく)
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