吉田福岡市長　暴力団関連企業から事務所借り入れ
市長と県連は説明責任を果たせ

暴追に冷水の重大事件

　吉田福岡市長は定例会見で「知らない」「選対や民主県連に聞いて」と逃げ口上に終始した。これでは、かつて悪事が露見した悪徳政治家が「秘書が秘書が」と責任転嫁して逃げ回ったのと同じである。

　官民あげて暴力団追放に取り組んでいる福岡で、暴力団関連企業から事務所を借りていたという事実は、暴追運動にも冷や水を浴びせる重大な背信行為である。問題のビルは、先ごろまで続いた暴力団抗争時には、警察の警備対象となっていたことは多くの住民・関係者が知っている。

　ある市議会関係者は、
「あのビルは普通の市民がたやすく借りられる物件ではない。権利関係も複雑である上、暴力団がらみであることを多くの人が知っている。政治に関与する者として、ビルの出入りくらい、気をつけて確認するものだ。市長選当時はどうか知らないが、集合ポストを見ただけで尋常なところではないことはすぐ分かった。団体名など堂々と明記してあったのだから・・・」
　と話す。自身の選挙で引き起こした「市民を裏切る行為」について、市長はきちんとした対応をすべきなのだ。

関係者は逃げずに会見せよ

　吉田市長は定例会見で「選対や県連に聞け」と逃げ口上に終始したが、本来、市長自身が関係者から事情を聞き取り、事実関係を説明する責任を負っている。できない理由でもあるのだろうか？それとも、ただ無責任なだけなのだろうか？

　一方、民主党県連も市長からボールを投げられながら、今日まで記者会見さえ開いていない。選対幹部による会見もない。何も話さず、逃げ回ることで沈静化を図ろうというのなら政治家としての資格はあるまい。当時の選対・県連の幹部は揃って会見し、謝罪と説明をするべきだろう。
　都合が悪いことは人前で話せないというのなら、政治家としての資格なし。民主党は全ての選挙を辞退すべきである。

選挙カー疑惑・政治団体の疑惑、全てうやむやの疑惑市長選

　吉田市長が就任直後、陣営が選挙カーの公費助成制度を利用して詐欺まがいの行為を働いていたことが発覚した。利用された業者が、市長室に乗り込み、数時間、金を返す・受け取れない、の押し問答を続けたことは記憶に新しい。

　助成金は福岡市に返されたのだが、「候補者」はあくまでも吉田宏氏個人である。他人事で済む問題ではなかったし、前代未聞の出来事だったにもかかわらず、この時も市長は他人事のように「選挙事務所のやったこと」として、公式な謝罪さえしなかった。

　「責任を取らない大人」は、子どもの目から見ても見苦しいものだ。そのことを自覚しない限り、吉田市長は子育てなど論じる資格はない。

　かつて本社取材班が総力取材し、繰り返し報じた市長の政治団体「ふくおかＦＡＮクラブ」についての数々の疑惑に対しても、団体の代表者、会計責任者はもちろん、市長も取材に答えなかった。市長は、なぜか秘書課を通じて「回答しない」事を伝えてきた。事は市長就任前の「選挙」のことであり、市政のことではない。市役所職員に答えさせるのはお門違いであることが分からないらしい。

　今回の市長の態度と同じである。これが吉田市長の体質なのだろうかと残念に思う一方、市長陣営の選挙は、疑惑ばかりがつきまとう、いわば「市民を裏切る選挙」であったことが明白になったと言わざるを得ない。さらに検証を続けてみたい。